「洗濯」を考えることがエコに繋がる
ブラザーズの哲学のひとつに「洋服の最終形態はクリーニングだ」がある。彼らが立っているのは、デザイナー、パタンナー、スタイリスト、縫製者など多くの業種が関わるプロダクトがたどり着く先、終着点ということになるが━━。
「洋服はワンシーズン着たら廃棄ではなく愛着を持って長く着る、という前提の下で僕たちは活動しています。衣類は新しく作っても、着るたびに必ず汚れる。長く着てもらうためには洗わなければならない。お洋服に関わるお仕事をされている人にとって、『洗濯』は避けられない要素の一つだと思っています」(康之氏)
洋服事業にはさまざまな特性を持つ企業や技術があるが、それら・彼らが共存共栄しつつ持続していくエコシステムの軸、プラットフォームは、たしかに「洗濯」かもしれない。さらに、彼らが大切に思っているのは、服を作る側が「洗われることを前提に作る」ことだという。
「デザイン優先で選んだ新素材が『洗えない素材』だったりすることもあるので、それを知った上で、それでも使うのかと考える。幸いそういう作り手の方は、以前より増えていると思います。
服は洗い方を知らないと長持ちしないし、着方がわからないと長く愛用されない。デザイナーや販売店の発想、クリーニング店の発想、両方を持つことが大事です。僕らは、元々アパレル側からスタートしてクリーニングに特化した。お互いの考え方がわかるという強みがあるので、洋服事業のエコシステムを回すことに貢献できると思うんです」(康之氏)
たとえばクリーニング師が、預けられたダウンコートを見て、落とすべき『皮脂汚れ』に注目したとする。しかし、アパレル側が大事にするポイントは、自社ブランドのロゴボタンやファスナーのロゴだ。

「そんなふうに両者には大きな乖離がある。そして両者のこの乖離は、アパレルが商品を販売してお客様がある程度着たあと、クリーニング屋さんに出し、トラブルに見舞われて初めて明るみに出るんです。
この乖離を理解するには、僕たちクリーニング屋さんもデザインを勉強しないといけないし、アパレルに携わっている方もクリーニングに関する技術に興味をもっていただくことが大切だと思うんです。
僕らはずっと埋まらなかったこの乖離、溝を埋めたいんですよね」(康之氏)


