「2025⼤阪・関⻄万博」のヘルスケアパビリオンでは、「ミライ⼈間洗濯機」が出展され話題コンテンツとなった。着衣のまま横臥すれば泡が全身を洗ってくれるというカプセル型の浴槽で、荒唐無稽なSFロマンかと思いきや、なんと年末には商品化も発表された。販売予定価格は6000万円というが、高齢者介護にも期待されるユニバーサル・デザインの未来型洗濯機として期待されている。
洗うのは人間でないものの、ここにも「起業家」「洗濯師」として洗濯のロマンに魅せられ、サステナブルファッションの文脈から社会課題にもコミットする男たちがいる。「日々の洗濯」を広報し、アパレル業界への橋渡しも務めながらイノベーションを起こそうとするエヴァンジェリスト、「洗濯ブラザーズ」だ。三宿、富ヶ谷、横浜でクリーニング店舗「LIVRER(リブレ)」を経営しながら、劇団四季、クレイジーケンバンド、シルク・ドゥ・ソレイユ、ポール・マッカートニーやブルーノ・マーズなどの舞台衣装のクリーニングも請け負う。
ショービズ界の洗濯に関わったそもそもの発端は、劇団四季の公演で来日していたイギリス人の振り付け師がプライベートでスエードのジャケットにつけた「エスカルゴのしみ」をみごと解決したこと。それをきっかけに、劇団四季側から「アラジン」の衣装を洗ってくれ、できるだろう、と言われたのだ。
「LIVRER MISHUKU(リブレ 三宿)」で、長男・茂木貴史氏と次男・茂木康之氏に話を聞いた(注:「洗濯ブラザーズ」には、もう1人のメンバーである今井良氏が「三男」として活動している)。
クリーニング店なのになぜ、「9割以上の洗濯物は家で洗える」を宣伝するのか
次男の茂木康之氏は主に洗濯の現場を、長男の貴史氏はトータルブランディング、ポジショ二ングやビジネスの舵取り全般を担当している。「コスメブランドなどクリーニングとは無縁の世界にいたので、俯瞰で見られるんです。どう他社と差別化して、社会の情勢や流れに添わせていくのかを考えています」(貴史氏)。
そして、9万部のヒットとなっている彼らの著書『日本一の洗濯屋が教える 間違いだらけの洗濯術』(2019年、アスコム刊)の表紙に踊る文字はなんと、「洗濯物の9割はおウチで洗えます!」。彼らはテレビ出演でも家での洗濯ノウハウを実技で解説するし、YouTubeチャンネルでも「10年洗濯していないウールのコートを家で水洗いする方法」などを詳しく教えている。
「クリーニング屋は、技術を公表していませんが、実は、家ですることとクリーニング屋がすることは大きくは変わらないんです。家でできないのかといったら全然そんなことはなく、ウールだってスーツだって洗えるんですよ。
難度が高いともいえる舞台衣装さえも、ドライクリーニングではなく、水で洗ってきた。水洗いの技術をずっと学んでは実践してきたんです」(長男・貴史氏)



