中小企業が銀行やフィンテックプラットフォームを円滑に切り替えられるよう支援するInstaSwitchは5月5日、サービスを正式にリリースした。同社はあわせて、シードラウンドで470万ドル(約7億4000万円)を調達したことを発表。このラウンドはChicago Venturesが主導し、UnitやSquare、PayPal、Plaidといったフィンテック企業の幹部らも名を連ねた。
多くの中小企業は既存の取引銀行に不満を抱えながらも、実際に他行へ切り替えるケースは少ない。その背景にあるのが、膨大な取引データの移行に伴う煩雑な手続きだ。
InstaSwitchはニューヨーク市に本拠を置き、シカゴにも拠点を構える。創業者兼CEO(最高経営責任者)のダニエル・ウェストは、同社のミッションについて、銀行やフィンテック企業による中小企業顧客の獲得を支援することにあると説明する。同社は、エージェント型AIを搭載したプラットフォームにより、給与支払いや売上管理、仕入先への支払い、顧客からの振込入金といった各種取引データや設定を含む業務プロセスを新しい環境へスムーズに移行できるようにした。
「私が話を聞いた銀行やフィンテック企業は、皆この問題を最優先課題の一つに挙げていた。それが起業を決断した理由だ。これは切実な課題であると同時に、強固な事業基盤を築く上で非常に魅力的な機会だとも感じた」とウェストは語る。
ウェストによれば、この課題に対する従来のボットを用いた手法は、アンチボット認証に阻まれることが多く、成功率は極めて低かったという。しかし、エージェント型AIをはじめとする技術の進展により、こうした制約を克服できるようになった。同社は、ユーザーの同意のもと、移行プロセスの一部をAIエージェントが担う仕組みを構築した。さらに、口座番号やルーティング番号(金融機関コードのようなもの)などの個人識別情報をエージェントに渡すことなく処理を実行できるコードを実装した。
Chicago Venturesのゼネラルパートナーであるスチュアート・ラーキンズは、InstaSwitchへの出資を決めた最大の理由は、創業者ウェストへの強い信頼にあったと語る。「ダニエルは、市場の課題を解決する上で理想的な創業者だ。通常、我々は将来のビジョンに投資をするが、今回は違った。彼は課題を明確に捉え、それを裏付けるデータも持っていた。我々にとって申し分のない案件であり、心を動かされた」。



