政治

2026.05.07 07:30

米国とイランの対立、中国はどう見ているのか

中国の習近平国家主席。2026年3月5日撮影(Lintao Zhang/Getty Images)

中国の習近平国家主席。2026年3月5日撮影(Lintao Zhang/Getty Images)

米中関係における最大の不確定要素は米国だ。かつては酒場で一番親しみやすい仲間だった米国は、今や最も付き合いにくい人物になってしまった。たとえ米国が酒場の片隅で誰かを殴りつけているとしても、そしてドナルド・トランプ米大統領がこうした怒りの目的や動機をうまく説明できていないとしても、大した問題ではないかもしれない。さらに言えば、その暴力によって米国と世界はむしろ良い方向に向かう可能性もある。いずれにせよ、中国は酒場の別の片隅で酒を飲みながら、時を待つことができる。

専門家の間では、米国とイランの対立は、中国にとってある種の勝利だという見方が一般的だ。主な理由は、米国が軽率な行動を取っているように見え、国際的な信頼を失い、少なくとも現時点では目的を達成できていないからだ。

筆者の私見では、中国はイランを攻撃した米国を、酒場で怒り狂っている男のように捉えている。米中間には意見の深い隔たりがある中でも、米国のトランプ大統領と中国の習近平国家主席は建設的な対話に向けた真剣な努力を示したいと考えている。だが、米国とイランの対立とホルムズ海峡の封鎖は、米中関係に新たな難題をもたらしている。

米国とイランの対立を注視する人々の多くは、大きく2つのグループに分けられる。(1)原油価格や経済の先行き不透明感を懸念する人々、そして(2)トランプ大統領に対する自身の見解を、概して否定的な形でこの状況に投影する人々だ。さらに、自国の国際的立場への影響という観点から両国の対立を評価しようとする第3の小規模なグループもある。中国も原油価格の急騰や貿易の混乱の影響を免れるわけではないが、おおむねこの3つ目のグループに属し、米国の一連の行動を自国の視点から捉えている。

中国にとっての核心的な問いは、米国の行動が中国の国益にどのような利益をもたらすのか、あるいは損なうのかということだ。イスラエルに関しては、中国は自国の戦略的懸念とは直接関係のない動機を持つ地域的な存在と見なし、その影響をほとんど考慮しないだろう。

では、イラン情勢は中国の計算をどのように変えるのだろうか? 中国の立場から見ると、良い面と悪い面の両方がある。

中国にとっての良い面

● 米国と同盟国との政治関係は悪化している。これは一般的な見方だ。この関係の悪化は、中国が米国の同盟国から受け入れられたり、有力な協力国と見なされたりする機会を拡大することになる。実際、米加関係の悪化を背景に、中国はカナダと自動車協定を締結することができた。トランプ大統領による北大西洋条約機構(NATO)への批判や欧州に対する全般的な不満が膨らむ中、中国が欧州との関係を改善する機会が訪れることは間違いない。

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翻訳・編集=安藤清香

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