経営・戦略

2026.05.06 15:02

ソフトウェアではなく「成果」を売る——AIネイティブエージェンシーに投資家が熱視線

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今後10年で最も価値のあるAI企業は、ソフトウェアライセンスを1本も販売しないかもしれない。先月、Sequoia CapitalはAI市場全体の捉え方を変える論考を発表した。ソフトウェアに費やされる1ドルに対し、サービスには6ドルが費やされており、AIは今やその両方を取り込めるだけの能力を備えた、というものだ。最も速く動いている企業は、プロフェッショナルが使うツールを構築しているのではない。自ら仕事をこなし、その成果に対して課金しているのだ。

2026年2月、Y Combinatorの2026年春のRequest for Startupsは、AIネイティブエージェンシーを優先カテゴリーの1つに指定した。YCパートナーのアーロン・エプスタインはそのビジネスロジックを明確にこう述べている。「今や、顧客に仕事を手助けするソフトウェアを販売する代わりに、自らそのソフトウェアを使って完成品を100倍の価格で販売することで、はるかに多くの収益を得られる」。この考え方は、B2Bアウトバウンドの実務者がすでにソーシャルメディアで語り始めていた内容を的確に捉えていた。ColdIQのCOOであるアレックス・バッカは端的にこう述べた。メール送信数で価格設定するエージェンシーは、月額500ドルのAIツールと競合することになる。一方、パイプライン創出で価格設定するエージェンシーが競合するのは、そのパイプラインを持たないことによる機会損失である。

VCの資金もこの論考に沿って動いている。Crosbyは、AIネイティブの法律事務所であり、請求可能時間ではなく文書ごとの固定料金でSlack経由の契約レビューを提供している。同社は2026年3月、Lux CapitalとIndex Venturesが主導し、Sequoiaも参加したシリーズBで6000万ドルを調達した。支援者にはエラッド・ギル、Bain Capital Ventures、パトリック・コリソンが名を連ねる。同社のモデルは成果ベースで構築されており、NDAやMSAのレビューは弁護士の作業時間に関係なく、通常約400ドルの定額料金で提供される。初期顧客にはCursorやClayが含まれる。WithCoverageは、ブローカーにブローカレッジソフトウェアを販売するのではなく、CFOに代わって商業保険を購入するサービスを提供しており、2026年1月にSequoia CapitalとKhosla Venturesが主導したシリーズBで4200万ドルを調達した。ソフトウェア導入サービスのためのAIネイティブシステムを提供するAuctorは、2026年4月15日にSequoia主導で2000万ドルを調達。MicrosoftのM12、HubSpot Ventures、Workday Venturesが共同出資した。

コパイロット vs. オートパイロット

Sequoiaパートナーのジュリアン・ベックが2026年3月に発表したエッセイ「Services: The New Software」は、その後ベンチャーコミュニティに広まった分類法を提示した。コパイロットは、アウトプットに責任を持ち続けるプロフェッショナルにツールを販売する。オートパイロットは、アウトプットそのものを直接販売する。Harveyは法律事務所にリーガルAIを販売する。Crosbyはレビュー済みの契約書を、それを必要とする企業に販売する。この違いが、製品がどの予算項目と競合するかを決定する。コパイロットはソフトウェア予算を奪い合う。オートパイロットは人件費予算を奪い合う。ほとんどの職種において、人件費予算はソフトウェア予算より桁違いに大きい。

AI Market Fitの創業者であり、VCおよびエンジェル投資家でもあるギジェルモ・フロールは、成果ベースの価格設定がサービス事業のユニットエコノミクスをどう組み替えるかについて広範に論じてきた。成果物は「月にX通のメールを送信する」から「アウトバウンドエンジンを構築・運用し、質の高いミーティング獲得のために最適化する」へと移行し、価格設定は時間単位のリテイナーから、月額5000ドルから1万5000ドルのパフォーマンス連動型パッケージへと変化する。エージェンシーがAIを活用して社内で仕事を完結させる場合、単位あたりの限界費用は急減し、収益モデルは人員数から完全に切り離すことが可能になる。

すでにアウトソーシングが存在する領域

Sequoiaのフレームワークは、実践的な参入の足がかりを特定している。すでにアウトソーシングされている業務から始めることだ。ある業務が外部に委託されているなら、その予算項目は存在し、スコープは明確であり、買い手はすでに成果を購入している。アウトソーシング契約をAIネイティブプロバイダーに置き換えることは、ベンダーの切り替えにすぎない。社内人員を置き換えることは、組織再編である。前者のほうがはるかに摩擦の少ない営業となる。Sequoiaは、インテリジェンスから判断力までのスペクトラムと、アウトソース比率対インソース比率に基づいて、いくつかの業種をマッピングしている。保険ブローカレッジはグローバルで1400億〜2000億ドル規模である。会計・監査は米国だけでアウトソース支出が500億〜800億ドルに上り、過去5年間で米国の会計士は約34万人減少する一方、需要は増加しており、供給制約の圧力にさらされている。医療の収益サイクル管理——本質的には臨床記録を請求コードに変換する作業——もまた、500億〜800億ドル規模のアウトソース型かつインテリジェンス集約型の業務である。

これらは、業務が明確に定義され、アウトソーシングのインフラがすでに存在し、人間のユニットコストとAIのユニットコストの差が新しいカテゴリーの企業を支えられるほど十分に広がっている市場である。Distyl AIは、Fortune 500企業にAIネイティブソリューションを提供し、測定可能な成果に価格を連動させている。同社は2025年9月、Lightspeed Venture PartnersとKhosla Venturesが主導したラウンドで1億7500万ドルを調達し、評価額は18億ドルとなった。

既存ツール企業にとってのイノベーターのジレンマ

Sequoiaが指摘する構造的な緊張は現実のものであり、すでに顕在化している。エージェンシー、法律事務所、会計事務所にコパイロットを販売している企業は、イノベーターのジレンマの特殊なバージョンに直面している。オートパイロットモードに移行して直接成果を提供し始めれば、現在ツールの対価を支払っている顧客を自ら食い潰すことになるのだ。これが、守るべきレガシーツールビジネスを持たない新規参入者にとっての好機を生み出す。オートパイロットになる最も有利なポジションにいるのは、最初からオートパイロットとして構築された企業である。それこそがYC 2026年春のコホートに含まれると予想されるものだ。Crunchbaseによると、2026年第1四半期、AIスタートアップはグローバルベンチャー投資の80%を獲得し、四半期で2420億ドルに達した。この数字のうち、インフラレイヤーへの集中——OpenAI、Anthropic、xAI——は、アプリケーションレイヤーにおけるより持続的な機会を覆い隠している可能性がある。そこでの競争は、誰が最高のモデルを構築するかではなく、特定の専門職バーティカルで最良の成果を提供するためにAIを展開できるのは誰かという点にある。

投資家と創業者にとっての意味

投資家にとっての示唆は、サービス企業がどのように評価されうるかの再評価である。従来のプロフェッショナルサービスファームは、収益が人員数に比例して拡大するという前提に制約されたEBITDA倍率で評価される。AIネイティブのサービスファームはその前提を覆す。追加の契約レビュー、保険の手配、アウトバウンドミーティングを提供する限界費用がゼロに近づくなら、製品がサービスであっても利益率のプロファイルはソフトウェアに類似する。Sequoiaの論考は明確だ。次の「1兆ドル企業」は「サービス企業を装ったソフトウェア企業」になるだろう。

創業者にとっての実践的な問いは、ツール予算を奪い合うのか、業務予算を奪い合うのかである。ほとんどの専門職バーティカルにおいて、業務予算はツール予算の6倍の規模がある。このカテゴリーを定義する創業者たちは、既存のエージェンシー業務の上にもう1つのAI搭載ワークフローレイヤーを構築しているわけではない。彼らはエージェンシーモデルそのものを置き換えようとしている。すでにアウトソーシングされ、すでに成果ベースで価格設定され、顧客が毎年「買うか作るか」の判断を下している業務から始めているのだ。参入の足がかりは狭いが、その背後にあるTAM(獲得可能な最大市場規模)は決して小さくない。

forbes.com 原文

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