ジョージ・H・W・ブッシュが中東に入るのにこれほど時間がかかった理由は、いったん南下してアフリカ大陸をぐるりと回る「遠回り」航路をとったからだ。地中海から紅海へ抜けるより近い航路を選ばなかったのは、紅海とアデン湾を結ぶ細い水路であるバブ・エル・マンデブ海峡の通過を避けるためと考えられる。
バブ・エル・マンデブ海峡周辺では、イエメンの反政府武装組織でイランの支援を受けるフーシ派が過去10年、ドローンやミサイルによる攻撃、さらにはヘリコプターによる商船への乗り込みなどを行ってきた。とくに、米国との和平合意が成立する2025年5月まで、フーシ派はパレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスを支援するかたちでこうした行動を繰り返していた。米海軍の空母がバブ・エル・マンデブ海峡を通過したのは、2023年12月の「ドワイト・D・アイゼンハワー(CVN-69)」が最後となっている。
ジョージ・H・W・ブッシュの到着によって、中東には短期間ながら米空母3隻が集結していた。中東に3隻以上の米空母が当時展開するのは、2003年のイラク戦争(米軍の作戦名「イラクの自由」)開始時以来、23年ぶりのことだった。
別の「フラットトップ」2隻が戦闘作戦を支援する可能性も
超大型空母2隻に加え、中東では近く米海軍の別の「フラットトップ(全通甲板艦)」も2隻体制になる可能性がある。これらは厳密な意味での空母ではない。
すでに3月、米海軍はアメリカ級強襲揚陸艦「トリポリ(LHA-7)」をアラビア海に展開させている。トリポリは長崎県佐世保を母港とする前方展開艦であり、中東での任務は今回が初めてだ。トリポリは、沖縄に駐留する米海兵隊の2200人規模の即応部隊、第31海兵遠征部隊に所属する部隊を乗せている。また、同艦は短距離離陸・垂直着陸型の第5世代統合打撃戦闘機であるF-35BライトニングIIを20機程度搭載して運用されている。
米中央軍は5月2日、トリポリがアラビア海で作戦行動中であり、ブラッド・クーパー司令官(海軍大将)の訪問を受けたことを明らかにした。
「司令官は乗組員と交流し、成績優秀者を表彰し、戦闘情報センターを含む艦内の各区画を視察しました」と米中央軍はX(旧ツイッター)への投稿に書いている。
During a trip to the region earlier today, Adm. Brad Cooper, CENTCOM commander, visited Sailors and Marines aboard USS Tripoli (LHA 7) in the Arabian Sea. He interacted with service members, recognized top performers, and toured various spaces throughout the amphibious assault… pic.twitter.com/GVl23P7Pl6
— U.S. Central Command (@CENTCOM) May 2, 2026
一方、ワスプ級強襲揚陸艦「ボクサー(LHD-4)」がホイッドビー・アイランド級ドック型揚陸艦「コムストック(LSD-45)」とともにマラッカ海峡を通過し、現在はインド洋で作戦行動中だ。
ボクサーは3月中旬、第11海兵遠征部隊を乗せて母港サンディエゴ海軍基地を出港した。その後、ハワイとグアムに寄港しており、来週初めにもアラビア海へ到着する可能性がある。


