復讐、身分逆転、不倫、スキャンダル、権力者の恋愛——。
こうした強い感情を駆動力に、1話1〜3分の連続ドラマをスマートフォンに最適化された縦型画面で配信する「バーティカル・ドラマ」の勢いがとまらない。
中国で誕生してコロナ禍に急成長、2024年以降は北米へと市場を拡大した新たな映像産業である。これに対しカナダは、国家戦略として「バーティカルのハリウッド」化を掲げ、連邦政府と州政府が連携しながら制作の誘致と育成に動き出している。
起源はネット小説、特徴は中毒性ある脚本
縦型マイクロドラマの起源は、2000年代の中国における課金型ネット小説にある。2016年、TikTokなど短尺動画プラットフォームの普及によって9:16の縦型視聴が一般化し、現在のフォーマットの原型が生まれた。当初はコントなどのお笑い動画が多かったが、2018年頃から1話数分単位の連続ドラマが登場。さらに中国では政府が「文化産業の新たな柱」として推進する「政府公認」の産業としたことで、急成長を遂げた。
縦型マイクロドラマの起源は、2000年代の中国の課金型ネット小説にある。2016年にTikTokなど短尺動画プラットフォームが普及し、縦型視聴が一般化したことで現在の形式が生まれた。数秒で引き込むフック、中盤の展開、次話へ誘導するクリフハンガーといった構成により、課金後も視聴を続けさせる設計が特徴だ。
市場規模は映画産業に匹敵。低コスト・高速生産の制作モデル
2024年以降、中国語コンテンツはAI翻訳によって多言語展開され、北米や欧州でも制作・配信が本格化した。2025年には中国語圏の売上総額が70〜130億ドル、その他言語圏でも約80億ドルに達し、映画興行に匹敵する規模に成長している。
この産業のもう一つの特徴が、制作体制の効率化だ。脚本はテンプレートに基づいて作られ、作家は補助的な役割を担う。無名な俳優を中心に起用し、撮影は10日以内で完了、編集にもAIが活用される。。無料部分で視聴者を獲得し、本編で課金する収益モデルで、配信はOTT(Over-The-Top:インターネット経由で映像や音楽などのコンテンツを配信するサービス。Netflix、YouTubeなど)に依存せず自社アプリで完結。この結果、20〜40話のシリーズを10万〜25万ドル程度で制作できるという、従来の映像産業とは根本的に異なるコスト構造が成立している。
実際、バーティカル・フィルム・バンクバー社のオリジナル作品「マフィアボス・オウンズ・マイ・ボディー」は製作費14万ドル、6日間の撮影で完成させ、配信プラットフォーム「ReelShort」でヒット作となっている。



