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カナダが「次のハリウッド」に? 縦型ドラマが変える映像産業

Getty Images

この急成長は、「何を作るか」だけでなく「どこで作るか」をも変え始めている。

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低コスト・高速生産を前提とするバーティカル・ドラマでは、税制や人材、撮影環境といった条件が制作地の選定を左右する。その中で、いま制作拠点として存在感を強めているのがカナダだ。

「バーティカルのハリウッド」を狙うカナダ

こうした急成長市場に着目したカナダは、将来的な制作費の高騰も見据え、国策として強力な「映像・デジタル産業向けインセンティブ政策」を打ち出した。映像・デジタル産業向けの税制優遇により、カナダ国内で一定数のカナダ人を雇用して制作を行えば、海外企業であっても最大で制作費の約50%を連邦政府と州から還付されるという好条件である。

例えばバンクーバーで撮影する場合、連邦政府から25%、ブリティッシュ・コロンビア州から35〜40%の還付を受けることができる。この制度では、還付見込み額を担保に金融機関から融資を受けることも可能で、実質的には制作費の半分程度でプロジェクトを成立させることができる。

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この優位性はコストにとどまらない。カナダでは大規模セットをゼロから建設し、照明や天候、動線を完全に制御できる環境が整っている。電線や看板といった現代要素の排除も容易で、長期占有やリテイクも柔軟に対応可能だ。

さらに、バンクーバーは世界有数の映像制作拠点として、熟練したクルーやVFX人材、スタジオ、ポストプロダクション機能が集積している。ハリウッド級のテレビ制作を支えるパイプラインがすでに整っている。

実際、北米のプロダクションやシンガポールの配給企業など海外資本も参入し始めており、短期間・低コストでの量産体制を背景に人材と資金がカナダに流入する構図が生まれている。

また、日本人俳優が多く起用されているShōgunのような歴史ドラマでも、税制優遇によるコスト削減に加え、セットや環境を完全に制御できる制作条件が評価され、カナダが制作拠点として選ばれている。

Netflixもプラットフォームを”縦”に

この流れは制作側だけではない。配信プラットフォームもまた、縦型への対応を急いでいる。

2026年、Netflixはモバイルアプリを刷新し、縦スクロール型のディスカバリーフィードやショート動画の連続再生UIを導入した。目的は明確で、視聴開始率の向上とモバイル滞在時間の最大化にある。

さらに同社は、縦動画を単なるUIではなく、新しいコンテンツフォーマットの実験場と位置付けている。縦型コンテンツや動画ポッドキャスト、AIを活用した推薦や制作などを、今後数四半期から2026年にかけて展開していく方針だ。つまり、変化は「配信の見せ方」にとどまらず、「コンテンツそのものの形式」へと踏み込み始めている。

日本は“消費国”にとどまるのか

日本市場も、受け入れ環境は整っている。スマートフォンの普及率はほぼ100%に達し、TikTokやYouTubeでの縦型動画視聴は日常化。モバイルゲームや漫画アプリでの課金文化も浸透している。

一方で、中国発コンテンツは文化的な差異から没入が難しいケースも多い。しかし、ローカライズすれば受け入れられる余地も大きく、ここに日本企業の機会がある。

そこで鍵になるのは、制作と流通の分離だ。企画は日本、制作はインセンティブのあるカナダ、配信はグローバルアプリなど、従来の「国内制作・国内配信」という枠組みを超えた新たなエコシステムを構築できるかどうかが、勝敗を分ける。

1話3分のドラマが、ハリウッドの構造を揺るがし始めている。次の主戦場は、すでにスマートフォンの中にある。

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