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2026.05.06 08:12

VCに頼らず1億ドルブランドへ──フルーツ2種だけで勝負した医師の14年

クリーンラベル、高尚な健康ミッション、投資家の熱気を武器に、毎年何百もの消費財ブランドが立ち上がる。しかしその多くは、数年のうちに店頭から姿を消していく

それでも突き抜けるブランドが、近年ますます踏襲しているのはお決まりの現代的な脚本だ。ベンチャーキャピタルから資金を調達し、急拡大し、市場が変調する前に戦略的な買い手へ売却する。2023年に創業したグリーンズ系サプリのグミブランドGrünsは、その最新かつ最も劇的な例で、立ち上げから4年足らずでUnileverによる12億ドルの買収に至った。驚異的な成果であり、まさにいま見出しを席巻するCPGストーリーの典型でもある。

だが、That's It Nutritionはまったく別種の物語だ。ファーマーズマーケットの出店と2つの原材料、そして「米国人はもっとフルーツを食べるべきだ」という創業者の確信だけで14年前に始まった同社は、Whole Foods、Costco、Target、Starbucksの棚に並ぶ全国流通の強豪へと成長した。Delta航空の機内でも提供されている。そして年商は1億ドルを超える。

創業者のリオール・ルーエンシュタイン医師によれば、昨年だけで同社は消費者に2億5000万食分のフルーツを届けたという。だがベンチャー資金を調達したわけでも、短期のイグジットを追いかけたわけでもない。それでも同社は存続し、成長を続け、創業時のミッションに全面的に集中している。Grüns流の成功モデルに注目が集まる業界において、That's Itは「長く続くもの」をつくる道が1つではないことを思い出させてくれる。

ルーエンシュタイン医師は、その歩みを形づくってきた哲学、意思決定、そして時に高くついた教訓について語る。現代CPGの定石に逆らいながらも、それが奏功したという事実は、この世界が画一的なものではないことを示唆している。

出口ではなく、ミッションから始める

「私たちのミッションは、もっと多くの人にフルーツを食べてもらうことだった」と彼は率直に言う。「5年で会社をつくって売る、という話ではなかった」

この違いが、あらゆる意思決定の土台になったと彼は主張する。資金回収のイベントではなく長期を見据えてつくるなら、トレンドを追いかけたり、原材料で手を抜いたり、自分の時間軸と合わない投資家に主導権を明け渡したりする誘惑に抗える、という。

同社は大半の期間を自己資金で運営し、創業から約10年の時点で少額の成長資金を受け入れたのみで、その後も収益を事業に再投資し続けた。

ルーエンシュタイン医師はその代償について率直に語る。「白髪がずいぶん増えました」。だが、独立性を守れたことは代えがたいと見る。投資家が気まぐれに戦略の方向性を変え、他のブランドが翻弄されるのを目にしてきた彼は、そうした不安定さは「本物」を築くことと相容れないと確信している。ゆっくり動ける自由、集中を保てる自由、長期成長のための適切なインフラをつくる自由は、困難をあえて選ぶ厳しさを十分に補って余りあるものだった。

改善より「破壊的」であれ

ルーエンシュタイン医師は、自社が戦う市場環境について歯に衣着せない。棚のスペースは有限で、大手がそれを支配している。大手小売のバイヤーがあなたのブランドに割く時間は年間15分、それすらないこともあるという。その環境では、既存商品の小さな差分にすぎない製品に勝ち目はほとんどない。

「いまは、より破壊的であればあるほど目立てる」と彼は言う。「棚にあるものの小さな改良版、という程度ではない」

プロテインバーでひしめくスナックバー市場に対して、That's Itはカテゴリーとして明確に異なるものを投入した。原材料がたった2つで、どちらもフルーツのバーである。既存ブランドから顧客を奪い合ったのではない。むしろ、まったく新しい買い手を売り場にもたらしたのだと彼は言う。シェアの奪い合いではなくカテゴリーの純増こそが、バイヤーの目に「このブランドが存在する理由」をつくり、その後も同社を守ってきた。同質化の海では、本当の新しさは単なるマーケティング上の利点ではない。生存戦略なのだと彼は主張する。

トレンドの渦に抗う

14年の間に、ルーエンシュタイン医師はナチュラルフード業界を次々と席巻するトレンドを見てきた。チアシード、コラーゲン、そして最近ではプロテインだ。バーにプロテインを足せという圧力は執拗だった。「過去14年、私たちは常にそのフィードバックを受けてきた」と彼は認める。

だが彼は、そうしなかった。理由はシンプルだ。このカテゴリーにあるバーの99%にはすでにプロテインが入っていた。そこに足せばThat's Itは過密なレーンでの「もう1社」になり、独自性を生んだ明快さを薄めてしまう、と彼は説明する。

フルーツは、あらゆる文化と食生活における定番だとルーエンシュタイン医師は言う。「流行り廃りがないのです」

同社が最近、食物繊維領域の新たな製品ラインに参入したのも、食物繊維が流行していたからではない。米国人の95%に影響する食物繊維不足が、現実の問題だったからだと彼は主張する。

サプライチェーンを自らのものにする

同社はフルーツを農家から直接調達し、作物に応じて18〜24カ月先まで契約し、自社の仕様に合わせて栽培してもらっている。「原材料が2つしかない製品では、その品質がすべてだ」と彼は付け加える。

直接取引にすることでThat's Itは、原材料コストだけでなく、基準、関係性、そして拡大に必要な柔軟性もコントロールできる。

同じ論理は製造にも当てはまった。創業当初から同社は、単なる「取引先の1つ」として扱うパートナーと、成長に本気でコミットするパートナーとの間に決定的な違いがあることを見抜いていた。そして後者へと意図的に舵を切った。この判断は、文字どおりの配当となって返ってきた。

Starbucksから2週間で100万個という注文が舞い込んだときも、That's Itが「イエス」と言えたのは、製造パートナーが味方でいてくれたからだ。そのプロモーションは約1年にまで延長され、Starbucksは基幹取引先となった。取引的な関係ではなく、運用面の関係を築いていたからこそ実現したのだと彼は言う。

真のマーケティングは試食である

ルーエンシュタイン医師のマーケティング戦略はシンプルだ。製品を人の手に渡すこと。

「試食が私たちの主要なマーケティング手法だ」と彼は言う。「手に取ってもらい、食べてもらえば、ロイヤル顧客になってくれると確信している」

この確信が、食料品店にとどまらない、意図的に非定型な流通戦略を形づくったという。航空会社、フードサービス、法人アカウント、オフィス。消費者が思いがけずブランドに出会い、試し、記憶する場所だ。

原材料2つのフルーツバーという異色の製品であり、あまりにシンプルなため多くの消費者が最初は信じないことすらある。その意味で、試食は有効な手段というだけでなく不可欠だと彼は述べる。

誠実さを「堀」にする

原材料のシンプルさは、混雑した市場で際立つ要因にもなった。製品には砂糖の添加がなく、防腐剤もなく、「ナチュラルフレーバー」もない。ルーエンシュタイン医師は現状の不条理を声高に指摘し、当初からそれに逆らって築いてきたことをためらわない。

原材料の誠実さこそが消費者の要求になりつつある市場において——彼によれば、その傾向はCOVID以降に急速に加速した——長年のコミットメントは理想主義というより先見性に見えるようになってきた。原材料を曖昧にして利益率を追ったブランドは、反発に直面し始めている。今年のExpo Westでさえ、ソーシャルメディアで名を知られるマーケティングの第一人者ゲイリー・ヴェイナーチャックが、定義が曖昧で透明性に欠けるナチュラルフレーバーを含めるブランドを名指しで批判した。

14年を経て、ルーエンシュタイン医師にとって教訓は明白だ。流行、数十億ドル規模の一夜の成功物語、そしてソーシャルメディアの熱狂があろうとも、自らの信条を理解し、その原則を妥協しない企業こそが生き残る。

forbes.com 原文

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