いまCTOは誰もが取締役会から同じ問いを投げかけられている。自社が使うソフトウェアベンダーのうち、どれが早晩、淘汰されるのか、という問いだ。
もっともな疑問だ。2月、AIエージェントが複雑な業務ワークフローを自律的に実行できることを示した後、わずか48時間でSaaSの時価総額2850億ドルが蒸発した。金融メディアはこれを「SaaSpocalypse(SaaSの黙示録)」と呼び、エンタープライズソフトウェア株は2008年の金融危機以来最悪の四半期を記録した。
しかし、恐慌は問題の実態よりも大きく広がっている。市場は、すべてのソフトウェア企業が同じ燃え盛る建物の中に立っているかのように扱っている。だが実際は違う。火をつけたマッチを握っている会社もあれば、消火器を売っている会社もある。そして自社のベンダーがどちらのカテゴリーに属するのかを見極めようとするビジネスリーダーにとって、その違いがこれほど重要だったことはない。
構造変化は現実に起きている
誤解してはならない。エンタープライズソフトウェアを作り替える本物の力が働いている。20年間のクラウド成長を支えてきたID単価課金モデル(ユーザー数ベースの課金モデル)は、圧縮局面に入っている。AIエージェントがナレッジワーカー3人分の仕事をこなせるなら、企業は3シート分のライセンスを必要としない。スイッチングコストに支えられてきた利益率も、代替の構築をより安く、より速くするAIコーディングツールによって揺さぶられている。
Notion、Asana、Monday.comのような企業は警戒すべきだ。中核プロダクト(タスク管理、プロジェクト追跡、軽量なコラボレーション)は、まさに「キルゾーン」に位置している。ここではAIエージェントがソフトウェアを補完するのではない。そもそもそのソフトを必要としなくなるのだ。エージェント型システムが、プロジェクト管理、タスク割り当て、依存関係の追跡、関係者への更新を、人間がブラウザのタブを一度も開かずに実行できるようになれば、1シートあたり月10ドル(約1560円)という価値提案は崩壊する。
だが、この論理をすべてのエンタープライズソフトウェアに当てはめるのは、カテゴリーの調整局面を、絶滅級の出来事と取り違える行為だ。



