イノベーションは長らく、成長や効率、競争上の優位性をもたらす原動力として捉えられてきた。しかし、先見性のあるリーダーたちは、より人間的な側面について認識しつつある。つまり、とりわけAI(人工知能)を活用したイノベーションが、従業員のエクスペリエンス(体験)とエンゲージメントに根本的な変革をもたらしているということだ。
こうした変化は、理論上の話ではなく、すでに進行中だ。ますます多くの組織が、従業員の採用やオンボーディングから、人材開発、パフォーマンス管理に至るまでのライフサイクル全体にAIを組み込むことで、エンゲージメントやエンパワメント、成長の新たな方法を実現しつつある。
とはいえ、話は単純ではない。AIを利用している従業員の87%近くが「生産性が向上した」と答える一方で、「AIの潜在能力を十分に活用できていない」という回答も93%を占める。さらには、多くの組織が依然として、AIの導入、信頼性、統合に関する課題に苦慮しており、これらに対処しなければ、エンゲージメントを損なうおそれがある。
しかしイノベーションは、適切に実行されれば、エンゲージメントが高く、充実感に満ち、高いパフォーマンスを発揮する労働力を構築するための、最も強力な手段の一つとなる。
以下では、イノベーションを通じて従業員のエクスペリエンスとエンゲージメントを向上させる4つの方法と、リーダーが次に取るべき行動を説明していこう:
1. 管理業務の負担を軽減し、有意義な仕事を可能にする
イノベーションが最大限に機能すれば、従業員がやりたくない仕事を排除し、重要な仕事に集中できるようになる。
会話型アシスタントから、ワークフロー自動化プラットフォームに至るまで、AIを活用したツールは、管理業務の負担を急速に軽減させている。Vodafone(ボーダフォン)のような組織では、AIチャットボットを活用して、よくある人事部への問い合わせの最大82%を処理し、従業員と人事チームの双方が、より付加価値の高い業務に集中できるようにしている。
同様に、Moveworks(ムーブワークス)やMicrosoft Vivaなどのプラットフォームは多くの場合、従業員がすでに使用しているツール内で、情報へのアクセス、タスクの遂行、問題解決を瞬時に実行できるようにする。
こうしたことがエンゲージメントに及ぼすインパクトは大きい。従業員が官僚的な手続きに費やす時間を減らし、自身のスキルを活かす時間を増やせれば、自律性や目的意識、満足感の向上につながる。



