4. 部署を横断したコラボレーションを生み出す
コラボレーションは、職場でのイノベーションを促進する最も有効な手段の一つだが、多くの雇用主は、そのコラボレーションを生み出すイノベーションを十分に活用できていない。データのサイロ化を解消し、情報やアイデアが、よりシームレスに流れるようにするイノベーションプラットフォームは、真に協働的な環境を構築する上で重要な役割を果たす。
同時に、有意義なつながり、すなわち、職場で真の人間関係を構築し、従業員が互いにやり取りを維持するようなつながりを保つためには、テクノロジーの使い方に配慮することが不可欠だ。AIは、特定の業務を効率化するツールとしては有用だが、有意義なエンゲージメントにつながる人間同士の交流に置き換わるものではない。
『ハーバード・ビジネス・レビュー』の寄稿編集者エイミー・ギャロが同誌で述べているように、「対人関係のマネジメントをAIに委ねてしまうと、画期的なアイデアを生み出すきっかけとなる、重要な摩擦を失ってしまうおそれがある。問題を新たな角度から捉える助けとなる、建設的な意見の相違が消えてしまう。実際にコラボレーションを機能させる、人間ならではの不完全さがなくなってしまうのだ」
今後の展望
従業員エクスペリエンスの未来は、人間とインテリジェントシステムが、いかにシームレスに協働できるかにかかっている。
今後は、以下のような展開が予想される:
・AIコパイロットがあらゆる業務に組み込まれ、意思決定やワークフローをリアルタイムで導く。
・従業員が社内でたどるライフサイクルが、オンボーディングからキャリアの転換に至るまで、一人一人に最適化される。
・業務内容が流動的で絶えず進化する、スキルベースの組織。
・人間とAIのチームワークがコア・コンピテンシー(中核的な強み)となり、他のスキルと同様に、測定・開発される。
しかし、それでも課題は残る。
導入ギャップは依然として大きい。現在、AIを頻繁に利用している従業員は約30%に過ぎず、正確性の問題やプライバシー、仕事を失うことへの懸念から、懐疑的な姿勢を崩さない者も多い。
さらには、「技術的摩擦」がエンゲージメントの阻害要因となっており、統合が不十分なツールや、不明瞭な手順のために、従業員は多大な時間を浪費している。リーダーは、イノベーションを導入するだけでは不十分であることを認識する必要がある。エンゲージメントは、イノベーションがどのように実装されるかによって決まるのだ。
イノベーションを活用して、従業員の成果を促進する
イノベーションは、もはや単なるビジネス戦略ではなく、従業員エクスペリエンスの戦略でもある。
AIや新興技術は、賢く導入されれば、摩擦を取り除き、適切な人材採用を促進し、コラボレーションを支援する。そこから得られるものは、生産性の向上だけでない。エンゲージメントが高く、活力に満ち、未来に目を向けた労働力が生まれる。
しかし、その逆もまた真実だ。イノベーションが適切に実装されず、ツールがうまく連携せず、トレーニングが十分になされず、ガバナンスが明確でない場合、信頼とエンゲージメントが急速に損なわれかねない。
チームメンバーが強い使命感に駆られ、成功に必要なリソースを与えられ、コラボレーションと改善の機会を見いだすことが積極的に奨励される環境を構築することで、組織全体が正しい方向へと成長を続け、イノベーションを起こすことが可能となる。


