2. 履歴書の選考に活用し、適切な人材採用を可能にする
従業員エクスペリエンスを向上させるイノベーション文化を最終的に主導するのは、その組織を率いるリーダーだ。しかし、日々の業務を遂行するために採用される人材もまた、組織が望ましい文化を構築し、それを維持できるかどうかを大きく左右する。
イノベーションに対するアプローチの一つは、従来の採用プロセスを見直すことだ。経理サービスプロバイダーHaven(ヘイブン)の創業者でCEOのサイラス・シラージは、ポッドキャストのインタビューで次のように説明している。
「人材採用に関しては、特定の業務のために採用するという考えには賛同しない。営業であれグロースであれエンジニアリングであれ、プロダクトかフロントエンドかバックエンドかに関係なく、(中略)求めるのは強い知的好奇心を持ち、何か特別なことを成し遂げたいという意欲のある『マニアック』な人材だ。優れた人材を見いだし、卓越した才能を集められれば、どんなことでも克服し、構築することができる」
大量の履歴書をさばくAI時代の雇用主は、特定のスキルやキーワードに注目している。こうしたことは、特定の職務を念頭に置いて行われることが多いが、ますます多くの雇用主が、望ましい企業文化の持続に貢献する、革新的で先見性のあるチームメンバーを獲得できるスキルとマインドセットを重視しつつある。
3. 「イノベーションのマインドセット」で、従業員に発言力を与える
適切な従業員を採用した後は、職場の各チームメンバーに発言力を与えるようなイノベーションのマインドセットが重要になる。
トヨタの「カイゼン(継続的な改良)」という価値観は、このマインドセットの代表例としてたびたび取り上げられるが、それには十分な理由がある。同社は全従業員に対し、ワークフローやプロセスの改善につながるアイデアを、どんなに小さなことでも提案するよう積極的に奨励している。
米国ウェストバージニア州にあるトヨタの工場の事例を紹介しよう。チームは、カムシャフトの形状不良を早期に検出するシンプルなツールを開発した。従業員が能動的な問題解決者となることが奨励されているため、この課題の解決に取り組んだチームメンバーによって、実用的な解決策が構築されたのだ。この生産上の問題は従来、完成したエンジンが発する異音によって発覚し、組立ラインの停止につながっていた。多大なコストを伴い、従業員の士気にも悪影響を及ぼしていたこうした生産の中断は、検出ツールが開発されたことで防げるようになった。
従業員が継続的な改良に向けた提案を行い、そのアイデアが聞き届けられ、実行に移される体制をリーダーが整えることで、従業員のエンゲージメントや積極性は劇的に高まる。自分の意見が尊重されている、と従業員が実感すれば、長期的なエンゲージメントの維持につながる。


