一見有益に思えるフィードバックでも、いざ活用しようとすると行き詰まることがある。業績評価や昇進の面談で「もっと戦略的に」「存在感を高めて」「もっと強固な関係性を築こう」といった言葉をよく耳にする。
それらは説得力があり、思慮深く感じられるほど洗練されている。だが会話が終わり、そうした言葉をかけられた側が腰を落ち着けて振り返ってみると、「実際に何をどう変えればいいのか」という問いが浮かぶ。多くの場合、明確な答えはない。進むべき道ではなく、漠然とした物足りなさだけが残る。
これが曖昧なフィードバックの問題だ。変化への道筋を示さずに、あたかも成長しているかのような錯覚を生み出す。良いフィードバックとは不確実性を減らすものであるはずだ。曖昧なフィードバックは不確実性を増大させる傾向がある。期待されることを明確にするどころか、受ける側は意味を解釈し、意図を推測し、「より良い状態」とはどのようなものかを「逆算」せざるを得なくなる。その結果生まれるのは行動ではなく、ためらいだ。
曖昧なフィードバックがフラストレーションを生む理由
難しいのはこの種のフィードバックがどう作用するかにある。そうしたフィードバックは具体的な行動を指し示すのではなく、個人のアイデンティティに結びつく。「もっと戦略的に」という言葉は具体的な行動を示しておらず、能力の欠如を示唆する。「もっとエグゼクティブとしての存在感を発揮しよう」という言葉もスキルを明確にせず、信頼性やスタイル、さらには帰属意識に関する疑問を呼び起こす。
そこから先は、フィードバックを受ける側は自分で解き明かしていくしかない。自分は話し過ぎたのか、それとも足りなかったのか。問題は分析だったのか、それとも話し方、あるいはタイミングだったのか。場の空気を読み損ねたのか、それとも自分に何を期待されているかを誤って判断してしまったのか。曖昧なフィードバックは改善を促すどころか、独りよがりの推測ゲームと化してしまうことが多い。注意力を奪うだけで何の前進もない。
リーダーが曖昧なフィードバックをする理由
多くのリーダーは意図的に不親切であろうとしているわけではない。曖昧なフィードバックを与えるのは、具体的な指摘をするのが気まずいからだ。行動を明確に指摘するには観察や証拠、そして率直であろうとする姿勢が必要になる。それは同時に、より難しい会話になるリスクも伴う。「もっと自信を持って」と言うことは、「直近の2回のクライアントとの会議で、反論されてすぐに引き下がったため、提案の説得力が弱まった」と言うよりも簡単だ。後者の指摘の方が有益だが、明確さと勇気をもっと必要とする。
曖昧なフィードバックは一種の回避となる。フィードバックをする人は説明という責任を完全に果たすことなく、何かがうまくいっていないことをほのめかすことができる。リーダーはフィードバックを伝えたと思うが、受ける側には具体的な行動ではなく曖昧な言葉だけが残る。一見、成長の機会のように見えるが実際には明確さが先送りされているだけだ。



