AI

2026.05.05 11:00

アンソロピック、評価額141兆円でOpenAI超えへ──人類史上最大の資金調達ラウンド

davide bonaldo - stock.adobe.com

davide bonaldo - stock.adobe.com

Anthropic(アンソロピック)は投資家に対し、評価額9000億ドル(約141.3兆円。1ドル=157円換算)での出資を決断するまで、48時間の猶予を与えた。ほとんどの報道が見落としている点を解説する。

Anthropic、評価額約141.3兆円超の新規資金調達ラウンドを準備

Anthropicは、評価額9000億ドル(約141.3兆円)超で総額500億ドル(約7.9兆円)の新規資金調達ラウンドを準備している。投資家には参加希望・出資額の提出について48時間の期限が設けられた。米国時間4月30日、BloombergTechCrunchなどに対し、関係者がAnthropicの動きとして明かした。

Anthropicの取締役会は、5月の会議で決定を下す見通しだ。このラウンドは、Anthropicが株式公開前に行う最後のプライベート資金調達になる可能性が高いとされている。

先の条件で成立すれば、3月時点でポストマネー評価額(資金調達後評価額)8520億ドル(約133.8兆円)だったOpenAIを抜き、Anthropicは世界で最も企業価値の高いAI企業となる。おそらく、あらゆるセクターを通じて世界で最も企業価値の高い未上場企業にもなるだろう。

この数字は慎重に検討する価値がある。現代のテクノロジー史において前例のないものだからだ。

2025年3月、Anthropicは評価額615億ドル(約9.7兆円)で資金調達を行った。2025年9月には評価額1830億ドル(約28.7兆円)。2026年2月には評価額3800億ドル(約59.7兆円)で300億ドル(約4.7兆円)を調達した。そして11週間後の今、9000億ドル(約141.3兆円)超で投資家の需要を試している。

同じ事業、同じ製品、同じ市場で、14カ月で15倍である。変わったのは、投資家が同社をどう値付けするかだけだ。

各報道の見出しは、これをAnthropicがOpenAIに追いついたと伝えている。それは表面的な解釈だ。より興味深い問いは2つに分かれる。その評価額の根底にある成長曲線が本当にこの到達点を正当化しているのか。あるいは、AI業界の価格形成の仕方が、歴史的な手法からいつの間にか乖離してしまったのか。

Anthropicの売上高は3年連続で10倍超に成長、評価額の根拠に

評価額9000億ドル(約141.3兆円)を支持する根拠は、エンタープライズテクノロジーの歴史上、かつて起きたことのない現象にある。

Anthropicの年間換算売上高は、2024年12月の10億ドル(約1570億円)から2026年3月末には300億ドル(約4.7兆円)へと成長した。10倍超の成長が3年連続で持続したことになる。記録に残る限り、この規模でこの成長率を維持したエンタープライズソフトウェア企業は存在しない。セールスフォースも実現していない。Snowflakeも実現していない。ServiceNowも実現していない。最も明白な比較対象であるOpenAIでさえ、同様の期間でARRは約250億ドル(約3.9兆円)に達した程度だ。ほとんどのアナリストがすでにレースに勝利したと見なしていた同社を、Anthropicが上回っていることになる。

売上は持続性が期待できる領域に集中している。フォーチュン10企業のうち8社が現在Anthropicの顧客だ。Claudeに年間100万ドル(約1億6000万円)以上を支出するエンタープライズアカウントは1000社を超え、2年前の約12社から増加した。Anthropicが2025年5月にローンチしたエージェント型コーディング製品Claude Code単体でも、2026年2月までに年間換算売上高25億ドル(約3925億円)に達した。同製品の法人向けサブスクリプションは、1月1日以降の6週間で4倍になっている。Anthropicは現在、世界中のGitHubパブリックコミットの4%を支えていると推定されている。

売上高の約30倍という倍率は、成長率調整後の比較対象と照らし合わせるまでは極端に聞こえる。年間10倍で成長している企業は、30%で成長している企業のようには価格付けされない。2028年になってもまだこの成長を続けている可能性のある企業として価格付けされるのだ。そうなれば、振り返ったときにこの評価額は合理的に見える。それが、入札する投資家たちが計算している数式である。

次ページ > 一部の初期支援者が、今回のラウンドをスキップ

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事