新規事業

2026.05.06 07:00

ウクライナの「実戦証明済み」迎撃ドローンを世界へ Terra Droneが挑む防空の革新

ウクライナのドローン(無人機)メーカー、アメイジング・ドローンズが開発した迎撃ドローンの試作機。日本のドローン企業テラドローンとアメイジング社が2026年3月31日、ウクライナの首都キーウで開いた記者会見の会場で(Viktor Fridshon/Global Images Ukraine via Getty Images)

ウクライナのドローン(無人機)メーカー、アメイジング・ドローンズが開発した迎撃ドローンの試作機。日本のドローン企業テラドローンとアメイジング社が2026年3月31日、ウクライナの首都キーウで開いた記者会見の会場で(Viktor Fridshon/Global Images Ukraine via Getty Images)

日本の防衛産業は慎重さを是として築かれてきた。一方、ウクライナのドローン(無人機)戦争ではスピードがものを言う。

advertisement

日本のドローン企業Terra Drone(テラドローン)が手がける2500ドル(約39万円)程度の迎撃ドローンは、この2つの世界が交わったところに生まれたものである。テラドローンは3月末、ウクライナのドローン企業Amazing Drones(アメイジング・ドローンズ)と資本業務提携を結び、「Terra A1(テラA1)」の投入に踏み出した。これは、何百万ドルもするミサイルを使わずに、「シャヘド」のようなより低速の攻撃ドローンを撃墜するためのドローンだ。

テラドローンによると、目的はウクライナで事業を拡大することにとどまらず、実戦で鍛えられたウクライナのノウハウをグローバル市場に展開していくことにある。同社は4月末にウクライナの別のドローン企業WinnyLab(ウィニーラボ)への出資も発表しており、これらの提携は多層型防衛を見据えたものになっている。長距離の固定翼型迎撃ドローンで敵のドローンに早期に対処し、さらに接近してきたものをTerra A1のようなより短距離のシステムで迎撃して高価値の拠点を守るという、二段構えの防衛だ。

展開の規模はまだ小さいものの、構想は壮大である。安価な迎撃ドローンと迅速な試験、戦場からのフィードバック、大量生産を軸に構築される防空体制だ。こうした防空モデルの実験場になってきたのがほかならぬウクライナであり、テラドローンはそこで得られた教訓を防空ビジネスに転換していこうとしている。

advertisement

迎撃の「経済性」

Terra A1はとりたてて複雑なドローンというわけではない。むしろそこにポイントがある。Terra A1は最高速度およそ300km/h、航続距離32km前後で、シャヘドのように速度のより遅いドローンを追尾できる。真の強みはその価格だ。

Terra A1は1機あたり2500ドル程度で、撃墜対象となるドローンや従来それを迎撃するために使われてきたシステムよりも格段に安い。シャヘドは1機およそ3万〜5万ドル(約470万〜790万円)とされ、迎撃ミサイルには1発数百万ドル(数億円)するものもある。テラドローンの創業者である徳重徹社長は筆者のインタビューに答え、「シャヘドをミサイルで撃ち落とすのは良い方法ではありません」と述べた。

次ページ > ウクライナが代替手段として開発した迎撃ドローンの強み

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事