元米陸軍特殊部隊員(グリーンベレー)でウクライナ特殊作戦軍と共に戦ってきたブライアン・ピケンズもこう語る。「だいたい1万〜3万ドル(約160万〜470万)ぐらいの比較的安価なドローンの群れは、数百万ドルするシステム、たとえばパトリオットミサイルや戦闘機から発射される迎撃弾などでは有効に対抗できません。こうした方式は端的に言って持続不可能なのです」
ウクライナは代替手段を開発してきた。それが迎撃ドローンであり、前線各地などに分散配置されたチームによって運用される。発想は単純明快だ。安価なドローンを安価なドローンで撃退するのだ。
2025年9月、迎撃ドローン技術のデモンストレーションを目にして、徳重は「迎撃ドローンはウクライナだけでなくグローバル市場にとっても重要だ」と直感したという。
「実戦で有効性が確認されている」という強み
供給不足や電子戦、なかでも電波妨害(ジャミング)は、ウクライナ企業が日常的に対処している課題である。裏を返せば、ウクライナのイノベーション(技術革新)は資源の欠乏と前線からの要求によって促進されている。ウクライナで開発されるシステムは、絶え間ないGPS(全地球測位システム)ジャミングやスプーフィング(なりすまし)、信号遮断にさらされるなかでも運用できることが求められる。
ウクライナのテックスタートアップを支援している米ベンチャーキャピタル(VC)、グリーン・フラッグ・ベンチャーズの共同創業者デボラ・フェアラムは、こうした戦場からの圧力がウクライナの防衛テクノロジーと多くの西側製システムの間に違いを生んでいると説明する。
「ウクライナの防衛テックスタートアップは前線や現実のニーズに合わせて開発や製造を行っています」とフェアラムは筆者の取材に述べた。「それこそまさに、ウクライナの防衛テックと西側から出てくるものを分かつ要因です。この進化はまだ初期段階にあり、今後も続いていくでしょう」
徳重はウクライナ企業との提携を「結婚のようなもの」と表現し、何度も重ねた訪問と直接の協力を通じて築かれたものだと説明した。「われわれには技術と量産の経験、ある程度の資金がありますが、実戦での実績という経験がありません」とも述べた。


