3.MCP/エンドポイント
MCPとはModel Context Protocol(モデル・コンテキスト・プロトコル)の略である。これは、SaaSプラットフォームにとっての「新しいユーザー」、すなわちAIエージェントの基盤になるものだ。この領域では、五つの企業が先行している。インテュイットはMCP連携でAnthropicと提携し、ChatGPT内に組み込まれる複数年契約を結んだ。ハブスポット、セールスフォース、ドキュサインはMCPサーバーを公開した。ショッピファイは、すべての店舗に標準で独自のAgentic Storefrontsを作成した。
MCPサーバーを持つことは、現時点でSaaS企業が取れる最も速く具体的な打ち手だ。しかし、それはリスクのない手段ではない。MCPエンドポイントを公開することは、プラットフォームの攻撃対象領域を広げることを意味する。セールスフォースはこれを直接経験した。Agentforceの立ち上げから数週間のうちに、研究者らが重大な脆弱性を公表したのだ。セールスフォースは対応し、その上にガバナンス層を構築した。それがAgent FabricとTrusted Agent Identityである。ここでも明らかになるのは、SaaSは信頼できる統制された層として必要とされているということだ。即席でバイブコーディングされた代替物には、決して提供できない層なのだ。
4.規制による競争優位性
一部のプラットフォームは、単に便利なだけではない。法的に認められた主体でもある。AIエージェントがバイブコーディングでその地位を迂回することはできない。ドキュサインとインテュイットは、そもそも事業を成立させるために規制上の認可が必要な領域を土台にしている。しかし、規制による競争優位性は最も再現が難しいカテゴリーであり、大半の企業はそれを持っていない。セールスフォース、ハブスポット、ショッピファイ、ゼンデスクはいずれもこの点では弱い。


