AI

2026.05.11 11:30

「SaaS終末論」は終わった――SaaSの未来はSaaSが担う

stock.adobe.com

stock.adobe.com

2月に起きた48時間の売り浴びせにより、SaaS(ソフトウェア・アズ・ア・サービス)企業の評価額は約2850億ドル(約44兆8000億円)吹き飛んだ。ウォール街はこれを「SaaSpocalypse」(SaaS終末論)と呼んだ。その筋書きは単純だった。AIエージェントがソフトウェアに取って代わり、ユーザー数に応じた課金モデルは終わり、既存大手は退場するというものだ。私はそうは考えない。

以下では、主要SaaS企業が自らをどのように位置づけ直しているかを概観する。要するに、SaaSは死んでいない。死んだのはインターフェースなのだ。

「SaaS終末論」の誤り

今や誰でも何でも作れる。次に優れたSaaSアプリケーションも、「プロンプトひとつ」で作れるように見える。だが同時に、この数年、本番運用に至らなかったLLM(大規模言語モデル)の空虚なデモも数多く見てきた。なぜか。

理屈の上では、私は今、バイブコーディング、つまりAIに対話的に指示してコードを書かせる方法によって、自分専用のCRM(顧客関係管理)システムも、人事システムも、さらには財務プラットフォームさえ作れるかもしれない。だが、それを運用管理できるのか。サイバーセキュリティは誰が担うのか。コンプライアンスは誰が扱うのか。何百万人もの顧客やアプリケーション呼び出しに対応できる規模まで、どう拡張するのか。

ツールの開発とプラットフォームの運用は異なる

バイブコーディングはエンジニアの働き方を変えている。しかし、拡張性があり、安全なソフトウェア・アーキテクチャの必要性をなくすわけではない。Redditなどで交わされているLLMのコストに関する議論を見ればよい。落とし穴は、ツールを作ることと、プラットフォームを運用することを同じだと考える点にある。両者は同じではない。「SaaSは死んだ」という考え方は、まさにこの落とし穴にはまっている。ツールを作ることと、プラットフォームを運用することを混同しているのだ。この2つは根本的に異なる仕事だ。

SaaSの未来はSaaSが担う

最も先進的なSaaS企業は、もはやユーザーインターフェースを売っていない。AIエージェントが利用者に代わって呼び出せる「機能」へのアクセスを売っている。画面は任意だ。しかし機能こそが不可欠なものだ。

次ページ > SaaSの重要指標とは

翻訳=酒匂寛

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事