Mike EhrleはFinparencyの創業者兼CEOである。
いまHRリーダーは、ここ10年で市場規模が急拡大した福利厚生マーケットを相手に舵取りを迫られている。雇用主の予算と従業員の関心を奪い合う「ポイントソリューション」が無数に存在するからだ。だが、その結果として得られているのは「よりよいケア」ではない。利用率は下がり、支出は増え、従業員はすでに支払われているはずの支援を見つけられない。
雇用主の約68%が「従業員が利用可能な福利厚生を十分に活用できていない」と報告している。解決策は存在し、資金も投じられている。それでも、最も支援を必要とする従業員ほど、決してそこにたどり着けない。
認知と利用促進の必要性
私は福利厚生の分野で26年にわたり、ポイントソリューション市場が、がん治療のナビゲーションや不妊治療支援から、ペット保険、学資ローン返済支援まで、あらゆる領域をカバーするカテゴリ特化のベンダーへと膨張していくのを見てきた。そして従業員50〜200人規模の企業における平均的なHRチームでは、福利厚生を担当するのが1〜2人であることも多く、この領域のごく一部でさえ精査するのは現実的ではない。
この問題に対する業界の答えは「エンゲージメント」だった。数年にわたり、あらゆるカンファレンスのベンダーブースの30〜40%ほどをこの言葉が支配していた。私は使うのをやめた。本当に必要なのは、認知と利用促進である。きわめてシンプルな2つの要素だが、ほとんど誰もがうまく実行できていない。
「使われ始めない」問題
具体例を挙げよう。従業員500人の会社を運営しているとする。昨年、15人の従業員が複雑な心臓のトラブルを経験した。だがHIPAAがその情報を保護しているため、誰がその15人かを特定できない。これは当然のことでもある。そこで500人全員を対象に心臓の健康に関するポイントソリューションを導入し、必要な人が見つけてくれることを期待する。だが、多くは見つけない。
最近私は、手術の品質に関するソリューションを目にした。総合評価ではなく、手技ごとに最も成績のよい外科医を特定できるというものだ。総合スコアが優れた医師でも、胆のう手術に限れば適任ではないかもしれない一方、別の手技では突出して優秀ということがある。手術に直面する従業員にとって、その価値は計り知れない。だが従業員150人規模の雇用主で、1年に手術を受ける人が3〜4人しかいない場合、150人全員に届けるためのコミュニケーション投資をどう正当化するのか。多くの雇用主は正当化できず、ソリューションは休眠したままになる。
ここにあるのが真の危機だ。イノベーション不足ではなく、「使われ始めない」ことの不足である。
状況を変えるためにできること
ポイントソリューションに投資する雇用主であれば、説明責任は更新時ではなく契約締結の時点から始まる。契約前に、各ベンダーに12カ月のコミュニケーション計画と利用促進計画の提出を求めるべきだ。年に一度の加入手続きの時期だけに現れるのではなく、通年で回る福利厚生コミュニケーションのカレンダーを作成する。ブローカーには四半期ごとに利用データを一緒に確認するよう依頼する。保険会社が認知と利用促進を支えるためのデータ統合や共有に応じない場合、その点も更新時の協議材料に組み込むべきである。
そして、これを読む従業員の方へ。福利厚生のポータルにログインしてほしい。資料に目を通し、雇用主があなたのためにすでに何に支払っているのかを確認することだ。いざ必要になったときに見つけられる場所に、情報を保存しておいてほしい。
優れたソリューションは確かに存在する。隔たりが生まれているのは、雇用主が提供するものと、従業員が実際に使うものとの距離を埋めるために必要な行動変容が起きていないからだ。
コストカーブは、利用者が利用者らしく振る舞い始めない限り、曲がらない。その出発点は認知であり、いま始める必要がある。



