働き方

2026.05.02 10:06

優秀な社員ほど陥りやすい「スコープ・リープ」の罠

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ディエネリア・ブラウン氏は、PushBlackの人材・組織文化担当シニアディレクターであり、従業員体験を重視する人事エグゼクティブである。

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リーダーの多くは、スコープ・クリープという現象に馴染みがあるだろう。これは、プロジェクトが少しずつ拡大していくにもかかわらず、その成長を支えるために必要なリソース、キャパシティ、納期の調整が行われない現象だ。しかし今、新たな課題が生じており、それはハイパフォーマーに直接的な影響を与えている。それが「スコープ・リープ」である。

ハイパフォーマーは、生産性と画期的なイノベーションを通じて組織を前進させることができる。しかし、彼らを際立たせる能力は、同時に彼らを過度に手を広げやすくする。彼らは、自分の価値を示し続けようとするあまり、業務範囲を超えた新しいタスクや責任を徐々に引き受け始める。しかし、ハイパフォーマーが自らの限界を超えて飛躍すると、最終的には燃え尽き症候群に陥り、本人と組織全体に重大な影響を及ぼす可能性がある。

スコープ・リープの波及効果

スコープ・リープの背後にある意図は称賛に値する。ハイパフォーマーは、自分の影響範囲を広げ、より多くの側面で支援し、リーダーシップの可能性を示したいと考えている。しかし残念ながら、この現象はしばしば否定的な結果をもたらす。

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誤った意思決定:従業員が専門外の業務を引き受けると、適切な判断を下すために必要な文脈が欠けていることが多い。その結果、生産性を高めようとする努力が、実際にはミスや方向性の不一致につながる。

同僚の立場の侵害:従業員が自分の業務範囲外に踏み出すということは、通常、他の誰かの領域に踏み込むことを意味する。スコープ・リープは、特定のタスクのために訓練を受け、経験を積み、割り当てられた同僚を排除し、敬意を欠くことになり、最終的には組織内の摩擦を生み出す。

燃え尽き症候群:Moodleの2025年職場学習状況レポートによると、2025年には米国の従業員の66%が燃え尽き症候群を経験したと報告している。ハイパフォーマーもこの現象から免れることはなく、既存の責任と範囲外のタスクの両方を処理しようとすることで、燃え尽き症候群のリスクが高まる。

スコープ・リープを解消する4つの方法

リーダーがチームのハイパフォーマーが過度に手を広げていると疑う場合、状況を改善するために以下のステップを踏むことができる。

1. 業務範囲の明確化。従業員が自分の役割と責任だけでなく、それを取り巻く境界線も理解できるようにする。彼らは、自分の役割が何を含むのか、そして何を含まないのかを説明できるべきである。他の部門に属するものは何か。上司の承認が必要なものは何か。専門家は誰か。

2. 明確なプロジェクト管理フレームワークの確立。すべてのプロジェクトには、主要な関係者とその役割を定義するフレームワークが必要である。このフレームワーク内の割り当ては、すべての従業員がアクセスできるようにすべきである。

3. 従業員との定期的な確認。ハイパフォーマーは、指導が少なくて済むと認識されているため、しばしば見過ごされる。しかし、上司はこれらのチームメンバーと積極的に確認を取り、彼らが満足しているかを確認し、自分の業務範囲内で意欲と主体性を発揮し続ける方法についてガイダンスを提供する必要がある。

4. 軌道修正の支援。スコープ・リープが現れた場合、リーダーはハイパフォーマーに、それが業務にどのように悪影響を及ぼすかを理解させる必要がある。これにより、従業員は実際に責任を負うべきタスクに集中し続けることができ、軌道修正が可能になる。また、スコープ・リープが蔓延すると揺らぎかねない、チーム内および組織全体の信頼を回復するのにも役立つ。

ある意味で、ハイパフォーマーの管理は困難である。なぜなら、彼らを成功させる資質が、同時にトラブルを引き起こす可能性もあるからだ。スコープ・リープはこの二律背反の典型であり、良いことも過ぎれば害になることの証明である。リーダーとして、私たちは意欲的で野心的なチームメンバーを求めているのであって、高圧的で過労状態のメンバーを求めているわけではない。明確な境界線がなければ、ハイパフォーマーは組織の負債となりかねない。組織は、明確に定義された役割の責任、その範囲外にあるもの、そして誰が何を担当することが期待されているかを確立することで、スコープ・リープを効果的に軽減できる。

forbes.com 原文

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