LAフィルも若年層の観客層が拡大中
ロサンゼルス・フィルハーモニー管弦楽団も、3つの演奏会場と世界的なブランド、音楽監督のグスターボ・ドゥダメルによって形づくられた輝かしい功績という独自の強みを生かして若い聴衆にアピールしている。ベネズエラ出身の世界的スター指揮者であるドゥダメルは2025年、LAフィルを率いて世界最大級の野外音楽フェスティバル「コーチェラ」に出演し、主要な交響楽団として初の快挙を成し遂げた。
これは、LAフィルがかねて理解していたことが具体化した瞬間だった。すなわち、若い観客層にとって有意義なことは、コンサートホールの中だけでなく、あらゆる文化的文脈の中で築き上げられるものなのである。
LAフィルでは2024~25シーズンの観客の63%をZ世代、ミレニアル世代、X世代が占めた。ウォルト・ディズニー・コンサートホール、ハリウッド・ボウル、フォード・アンフィシアターの3カ所を演奏会場とし、それぞれの社会的文脈に合った異なるプログラムを提供している。
「若い世代の観客数は確実に増加傾向にある」とLAフィルのノラ・ブレイディ最高マーケティング責任者は述べている。「Z世代の聴衆の音楽の好みは極めて幅広い。音楽教育、映画、ゲームなど、さまざまなルートでクラシック音楽に触れている。若者が遊ぶゲームの多くにはオーケストラ要素がかなり取り入れられている」
若い観客を惹きつけ、定着させている秘訣として、ブレイディはLAフィルが展開するジャンルを超えたコラボレーションとアーティスト育成の取り組みを挙げた。その好例が、アイスランド出身のシンガーソングライター、レイヴェイだ。彼女は今や音楽界屈指のオーケストラ・ポップスターとなり、Z世代から絶大な支持を集めている。
「レイヴェイはフォード・アンフィシアターを満員にした翌年、こんどはハリウッド・ボウルを満員にした。私たちはアーティストを育成し、活動を始める舞台を提供し、他の会場へと活躍の場を広げていくことができる。それが私たちの戦略の中核なのだ」とブレイディは言う。
2018年に立ち上がったLAフィルのレジデント・フェロー・プログラムは、キャリア初期のオーケストラ奏者を主要なプロ楽団の団員になれるよう育成する研修制度だ。ドゥダメル・フェローシップ・プログラムでは、世界中から集まった有望な若手指揮者を育成している。


