ベートーヴェンとビヨンセの融合
セントルイス交響楽団はまた、作曲家でプロデューサーのスティーヴ・ハックマンとのコラボレーションにより、「ベートーヴェン×ビヨンセ」などジャンルを超えたマッシュアップも披露している。ハックマンが再解釈した交響曲作品は、ポップスとクラシックを隔てる壁を取り払う一助となっている。たとえば『Resurrection Mixtape』は、ヒップホップ界のレジェンドと称えられるノトーリアス・B.I.G.と2PACのラップ音楽をグスタフ・マーラーの交響曲第2番「復活」と融合させた作品だ。
同楽団が新たに立ち上げたポッドキャスト「Noted」は、通勤中やジムでのトレーニング中の「ながら視聴」を想定した構成で、毎週の公演内容を簡単に紹介している。収録時間は約10分と短いものの、各エピソードは洞察に富み、実に深みのある内容となっている。
インフルエンサーが若年層のトレンドを牽引
セントルイス交響楽団ではこれらの取り組みをインフルエンサー戦略によって後押ししている。ベルナールCEOによると、本拠地パウエル・ホールに80人余りのソーシャルメディアクリエイターを招待したところ、SNSでの再生回数が1000万回を超えた。
TikTokのクリエイター、タニ・リオールは、クラシック音楽の演奏にヒップホップ風の合いの手を入れる動画が大ヒット。招待されたイベントが人生初のオーケストラ鑑賞だったといい、「まさか自分がクラシック音楽界のトップインフルエンサーの仲間入りをするなんて」と語る。「自分のリアクションにこれほど影響力があるとは思いもしなかった。私がきっかけでコンサートに足を運んだ人がたくさんいると聞いて、身の引き締まる思いだ。この経験をZ世代の皆さんと共有できることを光栄に思う」
@bytanilior Thank you @St. Louis Symphony Orchestra for such an unforgettable evening. My very first orchestra was pure magic! 🎻 ✨ I loved every moment and meeting so many wonderful people. Huge thanks to the amazing team for making it all happen! #bytanilior #orchestra#classicalmusic Dress: @Meshki ♬ original sound - Tani Lior
アーティスト育成プログラム「Mvstercamp」はセントルイス交響楽団と提携し、「プレイリスト」シリーズのチケットをミュージシャンに無償提供している。ラッパー兼プロデューサーのMvstermindことムハマド・オースティンは、Z世代のミュージシャンをクラシック音楽に惹きつける要素はストーリーテリングだと指摘した。「幼少期から、おもちゃやアニメ、ビデオゲーム、お気に入りの映画、そして好きな曲のサンプリングを通じて、クラシック音楽は彼らのクリエイティブなDNAに深く刻み込まれている」


