経済・社会

2026.05.01 23:59

市場が見誤るインフレの実態と金利の行方

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エネルギー価格の上昇は一時的にインフレ率を押し上げ得るが、経済全体の姿や政策当局が何をするかについては多くを語らない。

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原油は直近の高値から反落しており、投資家は中東の紛争をひとまずやり過ごそうとしているように見える。それでも、一部には「被害はすでに生じた」との見方があり、ガソリン価格の高止まりが広範にインフレを押し上げる可能性が高いという。

エネルギー価格にはそのような影響があり得る。しかし、今回の状況は世界的にインフレが急騰した2022年とは大きく異なる。当時は政府による景気刺激策が大規模に実施され、サプライチェーンは混乱し、経済はまだパンデミックからの回復途上にあった。

現在、そうした力学のいずれも存在しない。

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経済の一部では依然として供給能力の増強が進んでおり、これは注目に値する。インフレは通常、単一の出来事で定着するものではない。むしろ、需要が経済全体で供給を上回る状態が続くときに定着する。

現時点では、そうなっているようには見えない。直近の消費者物価指数(CPI)にはエネルギー価格上昇の一部が反映されているが、コアインフレの主要構成要素である住居費と賃金は落ち着きを見せている。

したがって、エネルギー価格の上昇はしばしば大きな不安を引き起こすものの、必ずしも新たなインフレサイクルの始まりを示すわけではない。これが重要なのは、金利の見通しに直結するからだ。

市場はFRBのタカ派姿勢を過大評価しているかもしれない

トレーダーは現在、2026年に1回だけ利下げが行われる確率を「約3分の1」と織り込んでおり、時期はおそらく年後半と見ている。だがこの水準のタカ派織り込みは、FRBがインフレの上昇を広範かつ持続的なものとして扱う、という前提に立っている。

繰り返しになるが、単一の出来事だけで持続的なインフレサイクルが引き起こされることはまれであり、さまざまな経歴を持つ政策当局者も概してそれを理解していることを示してきた。彼らはインフレを注視するが、成長と雇用も考慮する。これらが弱まり始めると、単一の供給ショックに起因する物価上昇をいったん脇に置くことに、しばしば前向きになってきた。

これはとりわけ原油価格が上昇するときに当てはまる。エネルギーコストの上昇は一定期間インフレに波及し得るが、そうした動きは経済全体についてほとんど何も明らかにしない。FRBにとってより重要なのは、成長、雇用、支出が弱まり始めているかどうかだ。ひとたび経済が勢いを失い始めると、減速は自己増殖的に進み、止めるのがはるかに難しくなる。

また、エネルギー価格の上昇が「One Big Beautiful Bill」から期待される財政刺激効果の多くを相殺している、と論じることもできる。家計がガソリンやエネルギーにより多くを支出すれば、それ以外の裁量的支出に回せる余地は小さくなる。この意味で、エネルギーコストの上昇は総合インフレを押し上げる一方で、成長の重しにもなり得る。

これらを総合すると、市場が現在想定しているよりも利下げの可能性は高いことが示唆される。そして投資家がFRBについて誤っているなら、金利がより広い意味でどこへ向かうのか、そしてその理由についても誤っているかもしれない。

金利低下が市場に意味すること

展開は1つに限られない。成長鈍化によって金利が低下するなら、投資家は景気が冷え込む局面で相対的に底堅い企業を選好するかもしれない。ヘルスケアは、需要がより安定し、収益の確度も高いという点でその条件に合致する。したがって、そのシナリオではイーライリリー、ブリストル・マイヤーズ スクイブ、メルク、ジョンソン・エンド・ジョンソンといった企業が際立つ可能性がある。

だが別の可能性もある。成長への大きな悪影響なしにインフレが和らげば、金利低下は大型グロース銘柄を含む、より幅広い銘柄を支えるかもしれない。それでも投資家は、金融緩和が容易だった以前の局面よりも選別的になるだろう。

問われるのは、金利低下の恩恵を受けるのが誰かだけではない。資本を実際にリターンを生む形で使うのはどの企業か、という点である。これは、強固なバランスシート、持続的なキャッシュフロー、資本を浪費することなく成長投資を行ってきた明確な実績を持つ企業を指し示す。

ハイパースケーラーによる設備投資の急増は、今年のテクノロジー株の相対的なアンダーパフォーマンスの一因となってきた。だが設備投資の伸びは今年後半にピークを迎える見通しであり、投資家はより強いフリーキャッシュフローを見据えて、Amazon、Meta、Microsoftといった銘柄へと再び資金を回すかもしれない。

市場は短期的ショックを読み違えているかもしれない

要点は単純だ。市場は短期的なインフレショックを、より持続的なものとして扱っているのかもしれない。その見方が誤りであれば、金利、債券利回り、セクターの主導権に関する見通しもまた誤っている可能性がある。

forbes.com 原文

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