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2026.05.09 17:00

「何かを達成すれば幸せ」ではない、幸福感を持続させるための新習慣

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金銭に関する研究も同様に示唆に富んでいる。2023年の注目すべき「敵対的協力」に関する研究では、異なる見解を持つ2つの研究チームが中立的なファシリテーターの下で共同研究を行うことに合意した結果、すでに比較的満足している人にとっては収入の増加はある程度幸福度を高めることが分かった。

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しかし、本当に不幸を感じている人にとっては、富だけで望むような変化がもたらされる可能性は低い。また、富を築くことを人生の中心に据えている人ほどポジティブな感情をあまり感じず、不安やうつを抱える割合が高い傾向がある。言い換えると、富の追求そのものが解消しようとしている不幸の原因になることもある。

幸福研究が実際に示していること

これらの研究は幸福は追求する価値がないと言っているわけではない。研究が示唆しているのは、私たちがこれまで間違った方法で幸福を求めてきたということだ。

米カリフォルニア大学リバーサイド校のソニア・リュボミルスキーは、自身が置かれた環境を変えるよりも、意図的な行動を変える方がウェルビーイングの持続的な向上につながることを明らかにした。これは、人は変化のない状況にはすぐに慣れてしまう一方で、多様で意図的な行動には順応しにくいからだ。つまり、何を所有しているかやどこに住んでいるかよりも、どのように時間を使うかがはるかに重要ということだ。

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最も決定的な証拠は、心理学史上最も長期にわたって実施されている研究の1つである「ハーバード成人発達研究」から得られている。80年以上にわたるデータ分析の結果、人生後半のウェルビーイングを最も強く予測する要素は富でも仕事での成功でもなかった。それは親密な人間関係の質だった。言い換えると、意味は快楽よりもはるかに快楽順応の影響を受けにくい。それは特定の結果に依存しないためだ。

たったひとつの成果ではなく、別の羅針盤を

幸福が重要ではないということではない。問題は、私たちに手渡された地図が確実に私たちを幸福から遠ざけてきたことにある。研究結果を総合すると、私たちの多くが信じ込まされてきた説よりも、より厳しいが同時に希望のあるものが示されている。

幸福とは目的地というより関わり方の質だ。周囲の人や意味を感じられる仕事、真に生き生きとした感覚を持ち続けられるほどに多様で意図的な人生との関わりだ。

それはどんなに長い時間をかけて努力したとしても、たった1つの成果によって得られるものではなく、日常生活の振る舞いを通じて培われるものだ。そのためには、これまでの羅針盤を別のものにする必要があるかもしれない。科学が一貫して示していることを踏まえると、羅針盤を取り替える価値はありそうだ。

forbes.com 原文

翻訳=溝口慈子

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