経営・戦略

2026.05.01 16:11

米国企業と中国企業で異なるグローバル市場への向き合い方

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ラドゥ・マグディンはSmartlink CommunicationsのCEO。グローバルアナリスト、コンサルタントとして、リーダーシップ、コミュニケーション、競争戦略に情熱を注ぐ。

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政治、外交、ビジネスは、ほぼ常に密接に絡み合ってきた。例外は1990年代のごく短い期間だけだ。当時は米国企業の圧倒的な遍在性が、カルタゴの平和にも近い状況を生み出していた。

しかし、いまは違う。ビジネス、政治、文化は、ますます米中両国の利害をめぐる議論となっている。そしてその利害は、グローバル市場におけるそれぞれの企業の存在感という形で表出する。

国際的なビジネスリーダーたちと話し、助言する機会(そして喜び)に恵まれてきたが、両者がグローバル市場にどう向き合うかが、驚くほど異なることに私は強く印象づけられている。

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多くの場合、特定のビジネス手法が「当たり前」とみなされるのは、その実践者たちが自分たちのエコシステムから出ることがほとんどなく、そのエコシステムには固有のインセンティブ、ディスインセンティブ、機会、制約があったからにすぎない。アプローチの違いは後になって、過度に誇張された文化的要因で説明されがちだが、前述のインセンティブや制約は無視されてしまう。

そこで、それぞれの「当たり前」の根にあるものを見つめ、実態を理解してみよう。

米国のアプローチ

米国企業は過去40年ほど、4つの決定的な優位性を享受してきた。

第一に、米国企業は第三次産業革命の最前線にいた。牽引役として革命を推し進めたという意味でも、その恩恵を受けたという意味でも、である。およそ20年前まで、ITは米国企業とほぼ同義であり、市場シェアはそれ以降もさほど変わっていない。この革命が経済全体にもたらした恩恵を定量化するのは難しいが、ステレオタイプを脇に置けば、米国企業の生産性は世界の基準である。

さらに、第三次産業革命が米国で起きたのは、1950〜1960年代の技術革新だけでなく、米国資本市場の圧倒的な規模のおかげでもある。これにより、企業は世界の他の地域では困難なスケールで潜在力を活かすことができた。かつての世界株式時価総額の70%には及ばないものの、世界シェアが米国GDPシェアの2.3倍に達する米国株式市場は、革新的なスタートアップをグローバルな巨大企業へと変貌させる原動力となってきた。

第三に、米国企業は世界市場の約半分を占めることもある国内市場を持っている。つまり、海外展開は時として選択肢の一つにすぎず、中心的な優先事項ではないのだ。

第四に、海外展開を行う場合でも、米国企業は英語が広く通用することに加え、漠然とした「アメリカの繁栄」という概念と結びついた国家ブランドの恩恵を享受できる。これは、世界の向上心ある中間層に対して有利なポジションである。

このエコシステムはまた、多くの米国企業にグローバル市場を二次的な検討事項として扱わせ、規模の経済に大きく依存させ、ニッチ市場やフロンティア市場を避け、飽和市場での最適化よりも主要市場の大きな変化を優先させてきた。

中国のアプローチ

ある意味で、中国企業が育ったエコシステムと国際市場で採用するアプローチは、これ以上ないほど対照的である。

多くの中国企業は、資本が乏しく、利益率の制約を受け、国内市場でより激しい競争圧力にさらされながら成長してきた。中国企業はしばしば、急成長する国内市場で成熟した。そこでは内部留保がIPOと同じくらい重要であり、容赦ない価格競争のもと、需要パターンの変化を素早く捉えなければ、利益率を確保できず、ひいては資本を「調達する」ことができなかった。

同様に、少なくとも当初、中国企業は実行効率、コスト管理、スピードに注力せざるを得なかった。薄い利益率は、技術の最前線だけでなく、プロセス、製造、ビジネスモデルのレベルでもイノベーションを促した。これは時に、小さな漸進的イノベーションの道筋となり、中国企業が電気自動車市場を席巻することを後押しした。

総じて、多くの中国企業は、採用するモデルや適応への意欲において、はるかに高い柔軟性を持って国際市場にアプローチしていると私は感じている。それはローカライゼーションであれ、業務プロセスであれ同様だ。

結論

では、これらのアプローチのどちらが優位性を示すのか。答えはまだ出ていない。米国企業が享受する大きな優位性は、その国内市場への参入を困難にしている。一方で、中国企業の適応する意思と絶え間ないイノベーションは、数多くのグローバルブランドを生み出すと同時に、ほぼすべてのグローバル市場での存在感を確保してきた。とりわけ、世界のGDPがゆっくりと引き寄せられていく高成長の新興市場において、その傾向が顕著である。

同様に、急速な技術変化の時代において、絶え間なくイノベーションを追求する姿勢は、数多くの失敗のなかの1社が、最終的に「正解」に最初にたどり着く可能性を高めることにもなる。もっとも、それが米国の資本市場に匹敵し得るのかどうかは、また別の記事のテーマである。

forbes.com 原文

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