働き方

2026.05.03 15:00

AI導入の成否は結局「人次第」──1.5万人の従業員調査が明かす現実

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あなたの会社もおそらくAIを導入しているだろう。しかし、組織と個人の双方にとって真の成功を収めるには、人間を適切にプロセスに組み込む仕組みが不可欠である。部門間の連携、研修、不安や恐怖心への対処など、従業員を支援する施策がAI活用の成否を左右する。

AIの業務への浸透は急速に進んでいる。Writerが3000人を対象に行った調査では、回答者の約97%が「自社は過去1年間にAIエージェントを導入した」と回答し、70%の従業員がAIツールを日常的に使用していると答えた。また、beautiful.aiが1200人を対象に実施した調査では、AIの日常利用率がわずか1年で18%から34%に上昇した。Writerによれば、59%の企業がAI技術に年間100万ドル(約1億5700万円)以上を投資しているという。

立ちはだかる課題

利用率が高い一方で、79%の組織が何らかの課題に直面している。Writerの調査では、48%がAI導入は「大きな期待外れだった」と回答している。

巨額の投資と大きな課題──では、どうすれば正しい方向に進めるのか。

1. 組織全体の連携を強化する

最大の課題のひとつが、連携の欠如である。Atlassianが英国、米国、オーストラリア、インド、ドイツ、フランスの6カ国で1万2200人超を対象に行った調査では、87%が「誰もが実行モードに入っており、連携がほとんどない」と回答した。さらに71%が「チーム間で重複するプロジェクトや業務が日常的に発生している」と答えた。

Writerの調査結果はさらに深刻で、54%が「AIが社内の分断を生んでいる」と回答し、権力闘争が起きている(43%)、業務の混乱が生じている(43%)との声も挙がった。

AI導入を成功させるには、まずAIが業務や顧客価値をどう向上させるかについて明確なビジョンを打ち出すことから始めるべきである。全社的な連携を確保し、期待される役割を明確にし、コミュニケーションを強化して、各チームが他チームの取り組みを把握できる体制を整えることが重要だ。

2. 研修・能力開発・スキルアップを推進する

AI活用を阻むもうひとつの重要な障壁が、研修の不足である。Atlassianの調査では、経営幹部はスキルや人材育成よりもツール導入に注力する傾向が84%高かった。また、「充実したAI学習の機会がある」と回答した従業員はわずか31%にとどまった。

研修不足がAIの出力品質に直結していると考えられる。Atlassianのデータによれば、49%の従業員が「AIの出力品質は安定して高いとは言えない」と回答し、48%が「作業のスピードは上がるが、品質が伴わない」と指摘した。

一方、AIを効果的に活用するスキルと知識を持つ人材は大きな恩恵を受けている。Writerのデータでは、そうした人材は過去1年間に昇給と昇進の両方を達成した割合が3倍高かった。

AI導入の成功には、AIの最適な使い方とワークフローへの統合方法について従業員を研修することが不可欠である。AIを実際に試し、検証し、実験する機会を設け、業務への取り込み方を体得できる環境を整えるべきだ。

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翻訳=酒匂寛

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