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2026.05.01 10:30

多くをこなす=有能の証ではない、デキる人が「意図的にやることを減らす」ために取っている3つの方法

Rishi - stock.adobe.com

2. マルチタスクの衝動に抗う

現代の仕事環境では、即時対応は最低限の要件とされている。メッセージは絶えず届き、開いているタブは増え続け、注意はあらゆる方向に引き裂かれる。その結果、全てを同時にこなせる人こそ有能という印象が生まれる。しかし実際は逆だ。

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専門誌『Proceedings of the National Academy of Sciences』に2018年に掲載されたレビューで、研究者のメリナ・アンキャファーとアンソニー・ワグナーは、メディアのマルチタスクと認知に関する過去10年間の研究を統合した。21件以上の研究を基に、習慣的に複数のメディアストリームを同時に消費することが、作業記憶や持続的注意力から干渉管理や抑制制御に至るまで、幅広い認知能力とどのように関連しているかを検証した。

結論は明確で注意を引くものだった。メディアのマルチタスクを頻繁に行う人は、そうでない人と比べていくつかの認知領域において一貫してパフォーマンスが低い傾向にあることが示唆された。最も注意すべきは、持続的で目標志向の注意力が必要なタスク、つまり重要なことに集中し、重要でない情報を遮断する能力が求められるタスクにおいて、その差が明確である傾向にあったことだ。研究者らは、マルチタスクを頻繁に行う人ほど注意がそれやすく、一度注意散漫になると元のタスクに戻ることが難しくなる可能性があり、この傾向が連鎖的に働いて作業記憶や長期記憶のパフォーマンスも低下すると指摘した。

これは、マルチタスクは訓練によって向上させられるスキルだという一般的な前提を否定するものだ。明らかにマルチタスクは、やがて注意散漫にさせてしまう習慣だ。

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有能な人は通常、マルチタスクの悪影響を身をもって経験している人たちだ。そのため、たとえ他の人より少し時間がかかっても、タスクを1つだけに絞れるよう環境を整えている。これには、次のような意図的な制約を仕事時に設けることが含まれる。

・集中して作業する際、重要でない通知をオフにする

・1つのタスクに集中する時間枠を設ける

・開いているタブやツールの数、あるいは同時のインプットを減らす

これらの方法は制限的に見えるが、認知的な観点からは不可欠な防御機能を果たしている。不要な刺激を遮断し、ひいては注意力を維持して情報を深く考える力を守る。

何に関わらないかを選ぶには、かなりの自制心が必要だ。完了させていないことや返信の遅れといった不快感に、耐えなければならない。だが長い目で見れば、それは最終的に質の高い成果につながる。

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翻訳=溝口慈子

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