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ビジネス

2026.05.14 13:15

楽天メディカル代表に聞いた「がん光免疫療法1億ドル追加調達」「ウクライナで治験」のワケ

楽天メディカル日本法人社長 小玉裕之氏(左)と米国法人プレジデント 前田陽氏

次の5年でどこまで行くか━━食道・婦人科・PD-L1、そして膵臓がん

光免疫療法の射程は、すでに頭頸部がんの外側へと広がり始めている。

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国立がん研究センターや大学病院などで、食道がんや、婦人科がんの子宮頸がんなどの医師主導治験も進んでいる。

「たとえば、北海道大学など研究志向の強い大学病院で、耳鼻咽喉科頭頸部外科と婦人科の先生が科をまたいで情報交換をしながら治験を進めてくださっています。こうした“診療科の壁”を越えた動きは、この新しい治療だからこそ起きている現象だと思います」(小玉氏)

楽天メディカルが次のフェーズとして掲げているのが、抗PD-L1抗体にIR700を結合させた新薬「RM-0256」だ。少し専門的な話になるが、抗PD-L1抗体は、がん細胞などが出している「免疫のブレーキ役(PD-L1)」に結合し、その働きを抑制して、患者本来のT細胞の攻撃力を取り戻す免疫チェックポイント阻害薬である。つまり、光でがん細胞を直接破壊しつつ、同時にがん細胞への攻撃を抑えてしまうブレーキも外して免疫を活性化させる─二つの仕組みを重ねたブースターと言っていい。

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(作図:芹澤健介)
(作図:芹澤健介)

「頭頸部で学んだ『どう照射するか』『どんな副作用が出るか』という知見を、他のがん種にも展開していくフェーズに入っています。次の5年で、頭頸部に続く“二つ目の柱”を立てられるかが勝負どころです」(小玉氏)

さらに海外では、医師からの提案ベースで、膵臓がんを対象にした臨床試験の準備も進みつつある。

「実はいま、アメリカの先生方から膵臓がんでの試験の提案をいただいていて、現在、まさに実施に向けた準備を進めているところです」と前田氏は明かす。

膵臓がんは、難治がんの代表格だ。

5年生存率が1割前後とされ、冒頭で既述のとおり楽天メディカルCEO・三木谷浩史氏の父・良一氏もこの病で亡くなっている。 膵臓がんで光免疫療法の有効性が示されれば、その評価は一段と変わる可能性がある。

1億ドルを引き寄せたもの━━評価された“現場発”の実行力 

こうした開発を支えているのが、国内外から集まる潤沢な資金だ。

今年1月に発表されたシリーズFラウンドでは、1億ドルの資金調達を実施。当初目標を大きく上回るオーバーサブスクライブ(応募超過)となり、成長期バイオベンチャーとしては国内でも異例の大型調達となった。

「日本での承認からこの5〜6年で、頭頸部がんのデータがかなり蓄積されてきました。市販後調査や先生方の観察研究でエビデンスが積み上がり、患者さんのQOL(生活の質)や安全性に関する評価も出てきている。そこに対して、投資家の皆さんから“実行力を持った会社だ”と評価いただけたのかなと思っています」(前田氏)

楽天メディカル米国法人プレジデントの前田陽氏
楽天メディカル米国法人プレジデントの前田陽氏

リード投資家には、台湾と日本が組成したライフサイエンス系ファンドTaiAxが入った。

海外の機関投資家に加えて、日本からは大手金融グループや保険会社などが名を連ねた。その中には三井住友銀行のようなメガバンクも含まれる。

「銀行さんや保険会社さんにも株主として入っていただき、日本を挙げて応援してもらっている感覚があります。ラウンドを重ねるごとに、資本の基盤が強くなっているのは間違いないですね」と前田氏は語る。

今回調達した資金は、免疫チェックポイント阻害薬との併用によるグローバル第Ⅲ相試験の加速と、2028年中の米国承認申請を目指すために投じられる。

日本で積み上げた実臨床データを“橋渡し”しながら、アジアや欧州など他地域での承認も狙っていく構えだ。

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取材・文=芹澤健介 写真=曽川拓哉

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