AIが変える仕事
竹崎: AIの観点で、今後就職活動とか仕事の内容について、どういう大きな変化が起きそうでしょうか?
AIで業務とキャリアを管理
金夛: 今は全ての業務プロセスにAIが入っています。毎日の仕事を音声で記録してAIに読み込ませ、翌日のタスク整理・優先順位・フォローアップを全部出させる。さらに「こういうキャリアを歩みたい」という情報も事前に入れておくと、目の前のタスクAとBがあったとき、「Bの方が長期的な目標に近い」と提案してくれる。常に優秀なキャリアアドバイザーと一緒に働いているような感覚、と言うと伝わるでしょうか。加えてAIのおかげでSQLが自由に書けるようになり、データ分析の速度が劇的に上がった。仕事の基盤が根本から変わっている実感があります。
青山: テック企業では、AI活用の目標が設定されていることも多く、職種問わず確実にその方向に進んでいますよね。私の周りでは、金夛さんのように、パーソナルアシスタントを作って全ての業務に活用している人はまだ多くはない気がします。使うほど自分の仕事がなくなるのではという複雑な気持ちもありますが、競争力を保つためには避けられません。
竹崎: そこまで個人で落とし込んでやれてる人って世界的にもまだ多くはないのではないでしょうか。今、私がチームレベルでやっているのは、ドキュメントやコードを書くとか、データを集めてきてレポーティングをするみたいなところを自動化・効率化して、生産性を上げていくというところがメインです。
日本人にとってのチャンス
金夛: Amazonや多くのグローバルテック企業では、ドキュメント文化が根付いています。AI登場前は非英語ネイティブの皆が「いかに英語で説得力のある文章を書くか」に苦労していたかと思いますが、その壁が一気に取り払われました。マクロで見ると、特にアジア人のプレゼンスが大幅に向上していくと思います。
竹崎: 欧米では、自分の実績を積極的にアピールして昇給や昇進を求めるのが当たり前です。でも、すごくいい仕事をしているのに声が小さいアジアの人たちは、どうしても不利になりがちでした。AIを使えば、手間をかけずに自分の実績を整理して、昇進や昇給の材料を作りやすくなります。
青山: 日本人は思ったことを自己主張して外に出すのが文化的に苦手ですが、AIでそれを実現できれば、同じことをやっていてもプレゼンスが上がります。アサーティブネス(自己主張力)を埋める、すごい武器になるんじゃないかなと思います。一方で、AI活用のリテラシーの差も今後はだんだんなくなって、みんな同じように使うようになると、最終的には対人コミュニケーション力、プレゼン力、交渉力などのソフトスキルが重要になってきます。そのためには英語力が基礎になるので、結局、AIも頑張って使うし、英語も頑張っていく、両方やらないといけないのだと思います。
金夛: なお、AIは業務効率化には確実に役に立っているんですが、それがそのまま業務のアウトプットにはならないとも感じています。AIで一気に90%まで持っていける。でもそこから先は、人を動かせるかどうかの世界です。上司やチームが動いて初めてビジネスが変わる。AIの殻に入り込んでいると、そのインタラクションが全く起きない。(人間が)ドライブすること、非公式な情報、誰が何を考えているか、そういうところにますます価値が移っていくと思います。


