東アジアの課題は、規模と依存度にある。最近のデータによると、ホルムズ海峡を通過する石油輸送量の約11%が日本に、12%が韓国に流入していることが確認された。両国とも、中東産の原油やLNGへの依存度が極めて高い。両国の企業は代替供給源の確保や備蓄の活用に乗り出しているが、こうした措置には費用が伴うとともに、供給体制に余裕がほとんどない実情を浮き彫りにしている。
価値連鎖の下流へと進むにつれ、その影響は製造業にも波及している。石油や天然ガス由来の石油化学原料の価格が高騰していることで、プラスチックから繊維に至るまで、各産業に圧力がかかっている。輸出主導型の経済では、これが製造の鈍化や利益率の縮小、そして世界中の買い手にとっての価格上昇につながっている。
発展途上国にとって、そのリスクはより深刻だ。多くの国では、長期にわたる混乱を乗り切るための財政的余裕や外貨準備、社会基盤が不足している。エネルギー価格の上昇は、即座に通貨への圧力や工業生産の減少につながり、場合によっては深刻な供給不足を招く恐れもある。
なぜ米国は今のところ被害を免れているのか
米国で比較的穏やかな状況が続いているのは、石油生産と地理的要因という2つの要因のためだ。
米国は依然として過去最高に近い水準の石油生産を維持しており、他の多くの国に比べて、ペルシャ湾岸諸国からの原油輸入の割合が小さい。これが物理的な供給途絶に対する緩衝材となっている。さらに、米国は世界で最も複雑な精製システムを有しており、ガソリンやディーゼルの需要の多くを自国で賄うことができる。
とはいえ、「緩衝材」は「免除」とは異なる。原油価格は国際的に決定される。供給の混乱によって日量数百万バレルの原油が市場から消失する恐れが生じると、世界中で価格が調整される。これにより、米国の消費者は既に燃料費の高騰を実感しているのだ。その中でも、構造的な理由から、ディーゼル燃料の価格上昇率はガソリンを上回っている。ディーゼル燃料は貨物輸送や農業、産業の基盤であり、供給は逼迫している。ディーゼル燃料の価格が動けば、経済の他の分野もそれに追随する。
米国の物価上昇はまだ序の口
米国が現在直面している燃料価格の高騰や初期段階のインフレは、供給危機の第1段階に過ぎない。世界的には既に第2段階、すなわち供給の逼迫と操業の混乱が見られる。
危機が続く中、次の段階は回避するのがより困難になる。利益率の低下と原油の調達難に伴い、製油所は操業規模を縮小し始めるだろう。製品市場はさらに圧迫される。戦略石油備蓄は助けにはなるものの、一時しのぎにしかならない。
最終的には、需要の減少を通じて体制が調整されることになる。物価が高騰すれば、個人や企業は消費を抑えるようになり、経済活動は鈍化する。これによって価格は下がるが、その過程で何らかの影響が生じることは避けられない。
全体像
現在の状況を米国内の視点だけで捉えるのは簡単だ。ガソリン価格は上昇し、食料品店での負担がわずかに増え、物価が全般的に高くなっているという感覚がある。しかし、この見方は広範な現実を見落としている。世界の多くの地域では、これはもはや単なるインフレの問題にとどまらない。燃料や食料生産、製造業、輸送に影響を及ぼす供給網の混乱に発展しているのだ。
米国はこれまでその影響から守られてきた。だが、歴史が示すように、その状態がいつまでも続くわけではない。さらなる影響が迫っている可能性が高い。
エネルギー危機が局地的なものにとどまることはまれだ。それは貿易や価格設定、供給網を通じて波及し、米国内でも影響が現れるようになるだろう。米国人が現在経験しているエネルギー価格の上昇は、まだ初期段階に過ぎない。世界の他の地域では、既に事態が進んでいる。


