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2026.04.30 07:00

低コスト・無人化・低技術──イラン紛争とウクライナ戦争で決定的になりつつある「非対称戦」

2025年9月。ウクライナのドネツク州内の非公開の場所で、武装地上ロボットを用いて訓練を行っている (Photo by Diego Herrera Carcedo/Anadolu via Getty Images)

ウクライナ、ドローンや無人水上艇でロシア軍の攻勢を阻止

イラン戦争は、現代の戦場において非対称戦が新たに重要性を増していることを明確に示したが、その教訓はウクライナの紛争から得られた同様の学びをなぞる形でもある。ウクライナでは過去4年間、はるかに小規模なウクライナ軍が新たな兵器と戦術を用い、侵攻してきたロシア軍の進撃を食い止め、ロシア側に壊滅的な人的損耗を強いた。2022年以降、ロシアは約120万人の死傷者を出し、そのうち30万人超が死亡したと報じられている

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2022年にほぼゼロから出発したウクライナは、精密弾薬の投射、情報収集、通常砲兵の射撃修正、前線への兵站支援を行える安価で使い捨て可能なドローンを、大量生産(現在は年300万〜400万機)する強力な能力を短期間で築き上げた。これがロシアの地上攻勢を頓挫させる一助となり、ロシアが支配するウクライナ領土は依然として約20%にとどまっている。この割合はほぼ2年にわたり大きく変わっていない。

一方、ウクライナが開発・配備した無人水上艇(USV)と、国産ドローンおよびミサイルの投入は、名高いロシア黒海艦隊に大きな打撃を与え、主要拠点をクリミアからロシア本土のノヴォロシースクへ移さざるを得ない状況に追い込んだ。さらにウクライナは、ロシア軍部隊を標的にするだけでなく、ロシアの戦争機械の資金源となるエネルギー部門、そしてそれを支える重要な輸送結節点にもミサイルやドローン攻撃を行う戦略を採り、モスクワを防戦に回らせた。

そして最後に、ウクライナの創意は、2026年に入って最初の3カ月だけでも、地上ロボット・システムがウクライナ前線で2万2000回を超える任務を遂行したとされる段階にまで及んでいる。注目を集めた事例では、ロシア軍の陣地を奪取し、ロシア兵捕虜を確保したケースさえあった。

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もちろん、これはロシアがウクライナの非対称的兵器と戦術に対して革新や対応をしていないという意味ではない。しかし、4年以上の戦闘を経て、通常戦から自国固有の技術的専門性、創造性、そして非正規の方法で戦う意思を生かす戦いへと移行できたウクライナの能力が、戦争の趨勢を大きく変えたことは明らかである。

近代戦の非対称化の進行は、世界の防衛支出と紛争の余波に影響を及ぼす

では、非対称戦が現代紛争の特徴として強まりつつあるのだとすれば、今後何を意味するのか。いくつか考えを挙げたい。

・第1に、他国や非国家主体もまた、イランとウクライナの戦争から戦場の教訓を学び、今後の軍事計画に織り込むと考えるべきだろう。例えば、ドローン、ロボティクス(ロボット技術)、そしてAI駆動の自律型プラットフォームの各種が、将来起こり得る南シナ海、ロシア国境沿い、朝鮮半島における紛争で、いずれ大きな役割を果たすという想定は難しくない

・また、非対称兵器の重要性の高まりは、世界の防衛支出の方向性を確実に形作るだろう。イランとウクライナの紛争は、低コストで使い捨て可能な兵器が敵戦力に与え得る破壊的影響を浮き彫りにした。これにより、大国が高額な兵器の購入計画の一部を見直すきっかけになるかもしれない

・そして最後に、現代戦の非対称性が強まり、低技術(ローテク)な精密兵器が拡散することで、紛争の波及は迅速にエスカレートし得る。従来は攻撃を免れると考えられていた国々、さらには湾岸諸国のような一部のサブリージョンにまで影響が及ぶ可能性がある

以上はいくつかの含意にすぎない。急速に進化する技術と戦場の必要性が交差することで、今後数カ月のうちにさらに多くの含意が生まれると私は確信している。

forbes.com 原文

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