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2026.04.29 09:00

UAEがOPECから脱退へ 国益優先と説明、盟主サウジアラビアとの対立も一因か

Getty Images

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アラブ首長国連邦(UAE)は、5月1日付で石油輸出国機構(OPEC)から脱退すると発表した。国営通信(WAM)が伝えた。この動きは、OPECが世界の原油価格と供給を支配する能力に影響を与える可能性がある。

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OPECからの脱退の理由について、UAEは市場の短期的な変動に対応するため、国内のエネルギー生産への投資を拡大したいという意向を挙げた。同国は声明の中で、2月末に米国とイスラエルが引き起こしたイランとの紛争により、ホルムズ海峡を通る石油輸送が遮断されたことに触れるとともに、中長期的に「持続的な増加」が見込まれるエネルギー需要に対応したいという政府の方針を説明した。

UAEがOPECからの脱退を決断したのは、同機構の実質的な主導者であるサウジアラビアとの対立が深まっているためだ。UAEは、近隣のアラブ諸国がイランの攻撃から地域を守るための十分な措置を講じていないと批判していた。

UAEはサウジアラビア、イラクに次ぐOPEC第3位の産油国だ。同国がOPECからの脱退を決断したことは、国際石油市場に対する同機構の支配力に影響を及ぼしかねない内部対立があることを示唆している。UAEはOPECに加え、2016年に結成された、ロシア、メキシコ、カザフスタンなど10の主要産油国から構成される「OPECプラス」からも離脱する。

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原油価格にも動きが見られる。米国のドナルド・トランプ大統領がホルムズ海峡の再開に関するイランの提案に不満を抱いているとの報道を受け、国際指標の北海ブレント原油先物は28日朝、4%上昇して1バレル105ドルを超えたが、その後、UAEがOPECを脱退すると発表したことで、104ドルまで下落した。ブレント原油価格はこの1週間で約10ドル上昇している。

1960年に設立されたOPECは、原油供給が逼迫(ひっぱく)した際には加盟国が増産して価格を安定させ、価格が下落した際には減産することを目的としている。サウジアラビア、イラク、イラン、UAE、クウェート、アルジェリア、リビア、ナイジェリア、ガボン、赤道ギニア、コンゴ共和国、ベネズエラの12カ国から成るOPECが原油生産量を調整することで、同機構は国際エネルギー市場に影響を及ぼすことができる。OPECの決定は、ガソリン価格やインフレ、さらには世界経済全体に即座に影響することもある。

OPECから脱退することで、UAEは市場の動向に対応する上で柔軟性を持ち、自国の指導部が適切と判断する限り原油を増産することができるようになる。つまり、理論上は世界の原油価格が低下する可能性がある。UAEのアブダビ国営石油会社(ADNOC)は、原油生産能力を2023年の日量294万バレルから27年までに日量500万バレルに引き上げるという目標を既に掲げていた。

トランプ大統領はOPECを「世界中の国々を食い物にしている」と非難し、OPEC加盟国の多くが「無償で」米国の軍事保護を受けながら、同国を「搾取」していると主張した。西側諸国のエネルギー監視機関である国際エネルギー機関(IEA)はここ数年、OPECの供給制限を巡り、同機構と対立してきた。OPECはかねてより、原油価格を操作するカルテルだと指摘されてきた。批判の声は、OPEC内部からも上がっている。アンゴラは、原油生産割当量の削減を巡る意見の相違を理由に、2024年1月1日付でOPECから正式に脱退した。

世界の原油生産量のうち、OPEC加盟国が占める割合は約35%で、同機構の原油輸出量は世界全体の取引量の約半分に上る。アナリストらは、加盟国以外の産油国の生産が急増したことで、OPECの国際石油市場に対する支配力が徐々に弱まりつつあると指摘している。ブラジルや米国を含むOPEC非加盟国の石油供給量は、加盟国による供給削減を部分的に相殺できるほど急増していると報じられている。

forbes.com 原文) 

翻訳・編集=安藤清香

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