BTS完全復帰の裏で「生みの親」を直撃した詐欺的不正取引疑惑

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パン氏の出国をめぐり米国政府の介入も?

事態をさらに複雑にしているのが、米国政府の介入ともとれる動きだ。韓国メディアの報道によれば、米国政府がパン氏の出国制限の解除を求め、韓国側に圧力をかけているという。

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この報道は韓国国内で大きな波紋を呼んでいる。「司法主権への侵害だ」とする批判的な論調が有力メディアを中心に広がっており、「国内の司法手続きに外国政府が口を出すのは内政干渉に等しい」という論評も見られる。

背景として指摘されているのは、BTSというコンテンツが米国でも多大な経済的・文化的影響力を持っているという事実だ。米国のエンターテインメント産業やライブ興行事業者にとって、BTSのツアー再開は巨大な商業機会を意味する。そうした利害関係が、この「外交的圧力」の背景にあるとの見方が韓国メディアには存在する。

ただし現時点では、米国政府が正式にどのような形で圧力をかけたのか、その全貌は明らかではない。韓国の政府や検察の対応いかんによっては、捜査への影響だけでなく、韓米関係という外交問題にまで波及する可能性もあり、韓国国内の世論は大きく割れている。

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パン氏を擁護する立場からは「HYBEをゼロから世界的企業に育て上げた実績は評価されるべきだ」「捜査は政治的動機を帯びているのではないか」といった声が上がる。一部のBTSファン(「ARMY」と呼ばれる)は、事務所トップへの攻撃がBTSの活動に影響することを懸念している。

一方、批判的な立場からは「大企業のトップである以上、説明責任を果たすのは当然だ」「韓国の資本市場の信頼性を守るためにも、疑惑はきちんと解明されるべきだ」という論調が根強い。特に上場前後の資本政策において、一般投資家が被った可能性のある損害への関心は高い。

SNSやコメント欄では「BTSの復帰で上向くはずだった空気に水を差された」という失望感と、「法の前では創業者も例外ではない」という真逆の反応が並存している。K-POPファンダムの熱量と、株主や一般市民としての視点が交錯するのが、今回の事件の特徴的な側面だ。

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文=アン・ヨンヒ

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