5. オニナベナの夢境にたたずむサギ(撮影:モントーヤ・ホワイトマン)
一見したところ、絵画のような情景だ。やわらかく、陰影に満ち、どこか現実離れしている。背の高いサギが、オニナベナ(スイカズラ科ナベナ属の越年草)が密生する野原をゆったりと歩いている。サギは長い首をもたげ、どこまでも続くオニナベナの草原を見下ろしている。金、赤、緑の落ち着いた色彩が、ぼやけながら一つに融合し、幻想的な印象を醸し出す。
この作品を強く印象づけるのはコントラストだ。直立し静止する、くっきりした鳥の姿と、モザイクをちりばめたようなオニナベナの背景が好対照をなしている。切迫感はなく、サギはただ、全方位にどこまでも広がる世界を探索しているように見える。
オオアオサギ(学名:Ardea herodias)は、北米最大級の水鳥であり、極めて順応性の高い種だ。海岸や湿地でよく見られる彼らは、辛抱強い狩りをする。長時間、微動だにせず立ち尽くしていたかと思うと、目にも止まらぬ速さで奇襲を仕掛ける。
撮影地は、米国モンタナ州にある、ナインパイプ国立野生生物保護区。ここは、湿地と草原が混交する生態系であり、多様な鳥類相が生息している。サギは水辺の鳥と思われがちだが、この作品が捉えた瞬間からは、その暮らしぶりの全容が浮かび上がる。調和の取れた生態系全体の相互作用こそが、彼らの生存を支えている。
6. 勇敢なる翼(撮影:カロル・ムカジー)
写真というよりも、神話の世界を描いた絵画のような光景であり、実に力強い作品だ。背の高い草原を蹂躙するオレンジ色の猛火がクロオウチュウ(学名:Dicrurus adsimilis)の群れを包みこんでおり、彼らは、葉のない骸骨のような樹に不安定に停まっている。
だが、鳥たちは業火から逃げ惑うどころか、一歩も退こうとしない。彼らは、昆虫や小型爬虫類が灼熱に追われて藪から逃げ出す、「食べ放題ビュッフェ」が始まる瞬間を待ち構えているのだ。危険を冒してでも貴重な食事にありつく、クロオウチュウのハイリスク・ハイリターンな生存戦略が見て取れる。


