ジャレド・デューカー・リクトマンは、博士課程の4年間を費やし、数学で「原始集合(Primitive Set)」と呼ばれる集合について、素数がその種の集合の中で最も効率的(エルデシュ和を最大にする)、すなわち極大な原始集合であることを証明した。
リクトマンは指導教員らの助言に反してこの問題に取り組み、やがてその問題に魅了された。最終的にその成果は「エルデシュの原始集合予想」の証明として、数学界で最も権威ある学術誌の1つに掲載され、今では広く評価されている。その後、彼は同じ系統に属する次の未解決問題を、さらに7年間追い続けた。そして米国時間2026年4月13日、人工知能がその問題を約80分で解いた。
「ポール・エルデシュには『The Book(神の書物)からの証明』という概念があった」とリクトマンはXに投稿した。「The Book」とはハンガリーの伝説的数学者エルデシュが想像した、あらゆる定理の最も美しい証明が収められた神聖な書物のことである。「GPT-5.4によるエルデシュ問題#1196の証明を読み、これはまさにその『Book Proof(神の書物の証明)』だと思った」という。
この瞬間──ある分野の専門家が、AIがたった1日の午後で、正しい証明のみならず美的にも完璧な証明を生み出したと宣言したこと──は、AIと数学をめぐる議論が沸騰点に達しつつあることを示す画期的な出来事といえるかもしれない。
エルデシュ問題1196とは何か
ポール・エルデシュ(1913〜1996年)は多作な数学者として知られ、数百に及ぶ未解決予想を収めたデータベースを残した。問題#1196は原始集合予想を「数が大きくなったときの振る舞い」に拡張したものである。この予想は1968年、エルデシュが、同じくハンガリー出身の数学界の巨匠アンドラーシュ・シャールケジ、エンドレ・セメレディとともに提起した。
「原始集合」とは、整数の集合のうち、どの数も別の数を割り切らないような集合を指す。素数はその典型例である。この予想(問題#1196)は、「大きな」数に限った原始集合について、ある特定の数学的な和がどのように振る舞うかを問う。要するに、数直線上でさらに先へ進むにつれて、その和がどう変化するかを調べる問題だ。
リクトマンは、共同研究者のゴロデツキー、ウォンとともに、この問題について従来最も大きな部分的進展を示していた。しかし、完全な予想の解決には至っていなかった。



