米OpenAIの本社で、長らく画像生成AIの開発に携わってきたリサーチャーのケンジ・ハタ氏は、これまでに先代のChatGPT Imagesによる画像生成や動画生成AI「Sora」などのプロジェクトを渡り歩いてきたキーパーソンだ。
ハタ氏がいま注力するプロジェクトのひとつが、4月21日に新しくリリースされた「ChatGPT Images 2.0」だ。この最新モデルの特徴は、生成される画像の解像度が向上したことにとどまらない。AIが人間の「クリエイティブパートナー」へと進化していくうえで重要な転換点を示している。
画像生成の領域においても、ユーザーとAIがより深いレベルでコミュニケーションを図りながら、対話によってさらに複雑なクリエーションができる時代が到来したのだ。
Soraの熱狂と、ディープフェイク動画のリスク
これまでOpenAIが発表して、世間を驚かせたモデルのひとつに動画生成AI「Sora」がある。しかし、いまSoraのプロジェクトは事実上の足踏み状態にある。その理由はやはり、Soraが同社に対して目に見える利益をもたらすことが難しかったからだと思われる。AIによる動画生成には莫大な計算資源とコストがかかる。ビジネスの経済合理性の観点から、然るべき判断が下されたのだろう。
筆者は以前、世界のクリエイターがSoraを使ってショートムービーをつくり、AI創作の可能性を追求するイベント「Sora Select」を取材した。披露された作品はいずれもすばらしいものだった。一方でSoraをビジネスとしてどのように着地させるのかについては、当時もまだ明快には見えておらず、その点が気がかりでもあった。
2025年に米国で「Take It Down Act(テイクダウン法)」が成立したことも、Soraに関連する戦略の転換を後押したのだろう。いわゆるディープフェイク動画のリスクに対し、企業が負うべき法的責任が格段に重くなったのだ。
AIによる動画生成は、悪意ある利用を完全に阻止することが困難だ。法的・倫理的なリスクを継続的に負担することは、将来的に企業価値を毀損させる要因にもなり得る。こうした状況を重く受け止め、OpenAIはChatGPT Images 2.0の開発においてより実用性が高く、経済的な機会を創出できる領域へと戦略の舵を切った。



