食&酒

2026.05.06 16:00

200年の時を編む、至高のコニャック:デラマン ロワゾ・ラール

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は5月号(3月25日発売)より、「デラマン ロワゾ・ラール」。コニャック地方でも最高級とされるグランド・シャンパーニュ産のブドウのみを使用し、熟成は古樽のみ。コニャックの格付けで最低でもX.O以上(10年以上の熟成年数)しか生産しない1本だ。


味わいは、ふさわしい瞬間に出会ってこそ完成される。例えば思いきり身体を動かしたあとの一杯のビール。喉を滑り落ちる苦味は、汗をかいた身体をブルンと震わせたくなるほどうまい。あるいは夏の海岸で夕陽を眺めながら味わう、冷えたロゼワイン。潮風と橙色の空が、その清涼感をいっそう際立たせるだろう。

では、クラシックなフランス料理を堪能した食後には何がいいだろう。バターやソースのコク、熟成したチーズの塩味──それらを受け止め、整え、次の段階へと導く役割を期待するなら、断然コニャックだ。アルコールの力強さをもちながらも、長い熟成によって角が取れ、丸みと奥行きを備えている琥珀色の液体は、グラスを手のひらで包めば、体温によってゆっくりと香りが立ちのぼる。花や果実、スパイスのニュアンス……。その立体的な香りと長い余韻が、食後をもう一段、甘美なひと時へと運んでくれるのだ。

「『デラマン』は質実剛健なものづくりで知られています。コニャック地方でも最高級とされるグランド・シャンパーニュ産のブドウのみを使用し、熟成は古樽のみ。コニャックの格付けで最低でもX.O以上(10年以上の熟成年数)しか生産しないことから、時間と手間をかけて高品質なコニャックをつくる稀有なつくり手だと言えるでしょう」と、「デラマン」を語るのはフランス料理の名店「アピシウス」(東京・有楽町)のエグゼクティブソムリエ情野博之だ。

「多くのコニャックが色み調整のためにカラメルを添加していますが、『デラマン』は不使用。この深い色は長期にわたる熟成から自然に生まれているのです」と掲げるグラスには完熟したアプリコットのような深い琥珀色の液体がたゆたう。「デラマン」が創業から200周年を記念してリリースした「ロワゾ・ラール」である。

「X.Oよりも長く、平均で30~50年熟成させた原酒をブレンドしているオール・ダージュという最上級の格付け。実際は50年超の原酒もブレンドされており、その深み、長い余韻は蠱惑的ですらあります」

この日は名物のひとつであるワゴンサービスの「クレープシュゼット」と合わせてくれた。目の前でくるくると剥いたオレンジの皮をつたって炎が勢いよくたち上るフランベに思わず歓声が上がる。悠久の時を編んだコニャックを供に、瞬間の美を映すデザート……永遠は一瞬であり、一瞬もまた永遠、などと思索に耽りたくなるのもまた、美酒の成せる技だろうか。

デラマン ロワゾ・ラール

容量|700ml
度数|42.0%
価格|275000円(希望小売価格)
問い合わせ|WINE TO STYLE 03-5413-8831

次ページ > 今宵の一杯はここで

写真=菅野祐二 文・構成=秋山 都

タグ:

連載

美酒のある風景

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事