最後のパイロット訓練生が卒業
A-10はひとまず「延命」することになったもようだが、それはあくまで短期的なものであり、最終的な退役時期がせいぜい1年先延ばしにされただけかもしれない。就役期間がさらに延長されるのかどうかや、A-10がいつまで運用されるのかは不透明だ。
この4月には、A-10Cパイロット訓練課程の最終期生が卒業した。この先、新たにA-10専用課程に入るパイロット訓練生はいないとみられるが、A-10の大半は州兵空軍もしくは空軍予備役部隊に配備されており、これらの組織はパイロットの定着率が高いことで知られる。
米ミッチェル航空宇宙研究所のシニアレジデントフェロー、ジョン・ベナブル退役空軍大佐は、既存のA-10飛行隊は訓練・作戦兼用部隊へ転換することで運用を継続できる可能性があるとエア&スペース・フォーシズ誌に述べている。
同誌の記事ではA-10について、保有機数が減少するにつれて「新たなパイロットの必要性は下がり、デービスモンサン空軍基地の“ボーンヤード”で入手できるスペアパーツの数は増える」とも解説している。
アリゾナ州ツーソン郊外にあるデービスモンサン空軍基地には第309航空宇宙整備再生群が所在し、退役機を保管したり部品を再利用したりする施設、いわゆる「ボーンヤード」を管理している。同基地は長年にわたりA-10の拠点でもある。
A-10の運用継続の裏にある政治事情
A-10がいまだに現役であり続けている背景には、さまざまな政治的思惑が絡んでいる。とくに、デービスモンサン空軍基地は地元経済にとって非常に重要な存在であるという点が大きい。アリゾナ州は激戦州であり、共和党と民主党双方がサンダーボルトIIの運用継続を望んでいる。
A-10の機体整備は、搭乗員や整備員、支援要員を含めて多くの雇用を生んでいる。
ロイター通信によると、アリゾナ州選出のマーク・ケリー上院議員は2021年、当時のジョー・バイデン政権が計画していたA-10数十機の退役案を、国防関連法にいっさいの退役を阻止する文言を盛り込むことで押し戻した。ケリーは、近接航空支援任務を遂行できる適切な代替機がない限り、A-10を削減すべきではないと訴えた。


