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2026.04.27 17:15

ロボットを持て、街へ出ようーなぜmirumiは世界的セレブを惹きつけるのかー

mirumi_tokyo インスタグラム公式より

また、弓月と同様、CES2025の会場でmirumiとともに視察で回っていた西村は、次のようなことに気づいたという。

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「自分が今、何を知覚したのか。その確信はどこまでが真実だろうか。 mirumi を身に着けていると、私が恣意的に目を向けた先よりも、デバイスが静かに捉えた対象にこそ、事物の本質が宿っているのではないかとハッとさせられました。それは、私たちが無意識に『世の中を理解したフリ』をしていた傲慢さに気づかされる体験でもありました」。

また、mirumiを通し、昨今のユカイ工学をはじめとする「KAWAII」のあり方をこう西村は分析している。

「シンプル。だけど、可愛い。しかし、その可愛らしさの先には、過剰な情報から解放され、世界をありのままに捉え直すような『静かな悟り』があるのではないでしょうか。mirumi は、効率を追うビジネスパーソンが忘れがちな、純粋な好奇心と謙虚な知覚を呼び覚ます、新しい時代のインターフェースだと思いました」。

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西村真里子氏
西村真里子氏

ロボットというと人の役に立つとか、人ができないことをするというような「機能的」な価値で図られることが多い。しかし、mirumiは掃除をするわけでもない、情報をまとめてくれるわけでもない、役に立つかといえば否であろう。しかし、赤ちゃんのような仕草や、触れると反応するなどの共感的インタラクションは、幸せを共有する存在として「機能」している。

mirumi_tokyo インスタグラム公式より
mirumi_tokyo インスタグラム公式より

筆者もショルダーバッグにmirumiをつけて外出してみた。

面白いことに、出会う人出会う人、mirumiを撫でてくれたり、mirumiから会話が始まったり、mirumiを中心として輪が広がったり、それはまさに「赤ちゃん」が社会で果たしている役割、つまり、幸せホルモンといわれるオキシトシンでつながるコミュニケーションそのものだ。

小さなぬいぐるみを外に連れ出す。これは昨今の子供から大人までがバッグチャームを付けるムーブメントにもあるように、日常の中に「KAWAII」を取り込むことで、自身が元気をもらったり、癒しを得たり、キュンキュンするようなその対象への愛情を確認し続けることが出来る、まさにモンチッチで約50年前、私たち日本人が湧いたのと同じトレンドでもある。

しかし、今回のそれは、これまでそれを享受するのが自分一人であったのに、mirumiは所有者のみならず、周りにも反応したり、チラチラ視線を送ったり、たまに無反応でドキドキさせたりすることで、周りへもその効果を波及する。それはまさに赤ちゃんがもたらす「幸せのおすそわけ」そのものであり、mirumiだからこそもたらせる共感的インタラクションだ。mirumiという存在から意識されているように見えるから、気になる、気にする。その『気にかける』『心を配る』という「ケア心理」の醸成は、無機質なロボットではできなかった領域だ。

自分とmirumiとの間に生まれる親密性。そして、そこから他者へも生み出されるコミュニケーションや幸せな気持ちの連鎖…。冒頭のセレブも夢中になるmirumi。それはデジタルコミュニケーションがデフォルトになってきている昨今において、時代が要請する、また、人間の本能が求めるニーズだったのかもしれない。

文=谷本有香

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