もともとはティーンネイジャーをターゲットに可愛い抱きつきロボットを、と考案されたmirumi。しかし、蓋を開けてみれば、もっともこの製品に飛びついたのは、ファッション感度の高い大人の女性たちだった。先のParis Hiltonのコメントも影響し、「自分のカバンにつけて持ち歩きたい」と世界中の女性たちが関心を寄せた。実際、2025年12月に海外で募ったmirumiのクラウドファンディングでは、ユカイ工学史上最高の8000万円の資金を集めることが出来たという。
女性たちだけではない。イタリアのストリートウェアブランド「GCDS」からは、是非、mirumiとコラボレーションしたいとの報が入り、ミラノファッションウィークでmirumiはランウェイを飾った。また、このあたりから、これまでユカイ工学のプロダクトが常連だったテック系メディアだけではなく、ファッションメディアにも多く取り上げられるようになったという。ユカイ工学代表の青木俊介は、この現象を見、これまでとは違うロボットの可能性を実感したそうだ。
このムーブメントを識者はどのように見るのか。
フランス発のエンジニア養成機関 42 Tokyo理事長である坂之上洋子は、mirumiについてこんな感想をもらす。
「このようなゆるいロボットは、日本人にしかつくれない。この微妙で微細なニュアンスを、世界の人たちが好きだと思ってくれることは大変不思議でもあり、一方、嬉しくもあります。なぜなら、この日本人独特の感性が世界の人からも共感してもらえるようになったから。もしかすると、これから日本の時代がくるのかもしれません」。
確かに「日本人独特の感性」とはそのとおりかもしれない。
CES 2025の会場でいち早くmirumiを身に着けたテックライフキュレーターの弓月ひろみもこう評している。
「いま、ZTEのiMoochiをはじめ『手のひらサイズの可愛いロボット』が各国で注目されるようになってきました。AI搭載のアシスタントロボも多数登場しています。ただ、mirumiがそうしたロボットと一線を画すのは「何もしない」ロボットであること。互いにコミュニケーションを取るのではなくこちらが愛を持って眺めるしかない、という異例のコンセプト。それなのに、赤ちゃんの仕草から着想を得たという気ままさは、ついじっと観察したくなりますし、偶然に目が合った瞬間の小さな喜びは何度でも新鮮です」。


