こうして2009年10月に公開された映画『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』は、死後に高まった追悼と支持の波に乗り、世界興行収入で2億6500万ドル(約421億円)超を記録した。さらにDVD、サウンドトラック、関連商品の売り上げも1億ドル(約157億円)を上回った。この映画でマイケル・ジャクソン遺産管理財団が得た収益は推定1億ドル(約157億円)にのぼり、財団の財務を救っただけでなく、マイケルのキャリアで最も収益性の高い時期の始まりにもなった。
ブランカは当初の約束どおり、マイケルが生前に築いた相当な資産を売却し、利益の最大化を進めてきた。2020年にはネバーランド牧場をビリオネアのロン・バークルに2200万ドル(約34億6000万円)で売却し、2016年には4000曲からなるATVカタログをソニー・ミュージックに7億5000万ドル(約1180億円)で売却した。さらに2024年には、マイケル自身の楽曲権利の半分をソニーに6億ドル(約943億円)で売却した。
財団がマイケルの死後に稼いだ金額は5500億円以上
同時にブランカは、マイケルの根強い人気をさまざまな形で収益化してきた。未発表曲を収めた新アルバム、ツアー型ショー、舞台作品、そして今回のハリウッド大作伝記映画もその一環だ。フォーブスの推計では、マイケル・ジャクソン遺産管理財団はマイケルの死後、35億ドル超を稼いでいる。フォーブスが毎年発表する「最も稼いだ故人セレブ」ランキングで、マイケルは過去16年のうち13回で首位に立った。
ただし、その相当部分は税金、マイケルの負債の返済、ほぼ絶え間なく続く法的係争への対応に充てられてきた。争いの発端の1つは、2002年のマイケルの遺言だった。そこでは、ブランカと音楽業界幹部ジョン・マクレインが財団の共同遺産管理人兼共同受託者に指名され、財産の20%は慈善事業に充てられ、残りは母親と3人の子どもに分配される一方、他の家族は相続対象から外されていた。受益者でさえ、遺産管理人に不満を申し立てている。
遺族との法廷闘争も
2024年には、マイケルの母キャサリンが、彼の楽曲カタログの売却をめぐって裁判で争ったが、認められなかった。娘のパリスも現在、遺産管理人らが映画に投じた金額をめぐって訴訟を起こしている。パリスはこの投資を「きわめて投機的でリスクが高い」と批判している。彼女は、遺産管理人らが報酬として約1億5000万ドル(約235億円)を得て私腹を肥やしたうえ、プロデューサーとしての立場を利用し、映画の中で自分たちを演じる俳優として映画スターを起用したと主張している。『Michael/マイケル』では、マイルズ・テラーがブランカを演じている。
これに対し遺産管理人側は、パリスには「映画業界の仕組みに対する理解が完全に欠けている」と反論している。さらに、すでに6500万ドル(約102億円)の利益がパリスに支払われていると主張しているが、パリスはこの金額を否定している。
マイケルの他の2人の子どもであるビギとプリンスは、『Michael/マイケル』のプレミアに出席し、映画への支持を示した。一方で、パリスは今も公の場で反対を続けている。彼女は9月、インスタグラムにこう投稿した。「こういう伝記映画で問題なのは、ハリウッド作品だということ。つまり、ファンタジーの世界であって、現実ではない。それなのに、現実として差し出される。物語はコントロールされている。不正確な部分も多いし、完全な嘘もたくさんある。結局のところ、私はそれを受け入れられない」


