マスク関連株の入れ替えは少数で、個人投資家は両方を保有する流れ
個人投資家の間でマスクが大きな支持を集めていることも、スペースXのIPOへの期待を押し上げている。ただし、テスラ株が現在の水準で適正に評価されていると見るモーニングスターのアナリスト、セス・ゴールドスタインは、それがテスラにとってマイナスになるとは見ていない。
「私は、この構図が必ずしも、投資家がテスラ株を売ってスペースXに乗り換えることにはならないと考えている。機関投資家は、ポートフォリオにスペースXを組み入れる余地をつくるため、テスラ株の一部だけでなく、他の保有銘柄も少し減らす可能性が高い」とゴールドスタインは述べた。
テスラのIPO当時から同社を担当し、テスラ株に「アウトパフォーム」の投資判断を付けているベアードのシニアリサーチアナリスト、ベン・カロも同じ見方だ。彼も、マスク関連の株を入れ替える投資家は少数にとどまると見ている。
「スペースX株を買う資金を確保するために、テスラ株を手放す個人投資家は一定数いるだろう。ただし、より大きな流れとしては、個人投資家がテスラ株とスペースX株の両方を保有する形になると見ている。つまり、個人投資家はイーロン関連の銘柄全体への投資を広げることになる。我々は、最終的にはさまざまな理由から両社が統合される可能性が高いと見ている」とカロは語った。
テスラとスペースXの統合をめぐり、ガバナンス上の懸念とマスクへの歯止めが問題に
最終的に両社が統合されるという見立ては、カロだけのものではなく、10年以上前から取り沙汰されてきたシナリオでもある。ただし、この可能性は一部の大手機関投資家に懸念も生んでいる。テスラを保有する機関投資家の中には、過去に旧ツイッターやxAIに出資した経緯から、スペースXにも投資することになるところがある。マスクは、今回の売り出しにこれらの2社の持ち分を組み込んでいる。そうした投資家にとって問題になるのは、取締役会の独立性と、しばしば物議を醸すマスクに対して一定の歯止めを維持できるかどうかだ。
ある公的基金の理事は、フォーブスにこう語った。「テスラで見られるガバナンス上の問題は、テスラとスペースXの正式な関係ができれば、スペースXにも引き継がれることになる」。この公的基金はテスラ株を保有しており、IPO後にはほぼ確実にスペースX株も取得することになる。この理事は、特定の投資先に関するコメントが基金の方針に反するため、匿名を条件に取材に応じた。同氏が最も懸念しているのは、スペースXの一部として組み込まれるxAIをめぐる過去のガバナンス問題が、「重大なリスク」につながりかねない点だ。
マスク傘下企業の統合までは利益相反の問題が続くと予想される
ガーバーの投資会社は、過去に投資した旧ツイッターとxAIの持ち分が今回の売り出しに組み込まれるため、スペースX株を保有することになる。ガーバーもまた、最終的にマスク傘下の企業群が統合されると見ているが、それまでは問題が続くと予想している。「2つの上場企業を運営しながら、利益相反をめぐる訴訟を絶えず起こされないようにするのは、実際には難しい。特に、相互に取引のある企業同士ならなおさらだ」と彼は語った。
ガーバーはまた、マスクの人工知能企業xAIがスペースXに組み込まれるため、「テスラの頭脳とGrok、そしてオプティマスまでを、すべてスペースXが統括する形になる。それはあまり筋が通らないし、もともと筋の通る話ではなかった」と語った。「これらの企業はいずれ一体化せざるを得ない。もし統合前にスペースXがIPOすれば、統合する段階で話は複雑になる」と彼は続けた。
ガーバーは当面、スペースXへの熱気が一段と強まると見ている。「スペースXはミーム株としての魅力が大きい。宇宙ビジネスは簡単に数字で測れないからだ。ミーム株になるなら、数字だけでは評価しにくい業界にいる方がいい」と彼は指摘した。


