ロシアの首都モスクワで16日、金融関連のフォーラムが開催された。フォーラムでは登壇者らが、ロシアの資本市場や株式市場、市場の成長など、同国の金融部門を形作る優先課題について議論した。登壇者の1人に、ロシア中央銀行のエリビラ・ナビウリナ総裁がいた。
ナビウリナ総裁は講演の中で、ロシアが前例のない労働力不足に陥る可能性があると警告した。同総裁は、製造原価の上昇とロシアの過熱した経済がインフレを招いていると指摘した上で、同国は輸出と輸入の双方に影響を及ぼす、外部環境の持続的な悪化に直面していると述べた。
ロシア経済について警告を発しているのは、中銀総裁だけではない。2025年12月に開かれた年末恒例の記者会見で、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、同国が景気減速に陥っていることを認めた。同年6月にロシア第2の都市サンクトペテルブルグで開催された国際経済フォーラムでは、マクシム・レシェトニコフ経済発展相が、同国は「景気後退の瀬戸際にある」と警鐘を鳴らした。
同国がこうした経済的課題を抱える中、ロシア英字紙モスクワ・タイムズは15日、プーチン大統領が政府と中央銀行の幹部に対し、経済が低迷している理由を説明するよう求めたと報じた。世界銀行と国際通貨基金(IMF)は、2026年のロシアの国内総生産(GDP)の成長率がわずか1%程度にとどまると予測している。世界銀行の報告によれば、2025年の同国のGDP成長率は0.9%だった。2023年と24年には、ともに4%の成長を記録していた。
ウクライナ侵攻下のロシアの経済状況
ナビウリナ総裁、プーチン大統領、レシェトニコフ経済発展相によるロシア経済に関する発言は、西側の制裁が同国に影響を与えていることを示唆している。2022年2月にロシアがウクライナへの侵攻を開始すると、世界各国が結束してロシアに制裁を科した。米シンクタンク大西洋評議会によると、経済制裁の結果、ロシアは数百億ドルの損失を被ったと推定されている。数百人規模の新興財閥オリガルヒや政治家、実業家、企業などが制裁対象となっている。米エール大学によると、1000社を超える多国籍企業がロシア事業から撤退した。
筆者の取材に応じた米権利擁護団体「民主主義刷新イニシアチブ(RDI)」のウリエル・エプシュタイン最高経営責任者(CEO)は、「制裁はロシア経済を破壊したわけではないが、教育水準の高い労働力が国外に流出したことで、長期的な技術的・財政的衰退を招いた」と指摘した。その上で、経済制裁により、ロシアは現代の経済成長を支える数多くのネットワークから切り離されたままになっていると説明した。



