欧州

2026.04.27 07:30

ロシアの労働力不足が深刻化 国民の7割超はウクライナ侵攻を依然支持

ロシアの首都モスクワ(Getty Images)

ウクライナ侵攻がロシアの市民社会に与えた影響

こうした経済的な課題に加え、ウクライナ侵攻はロシアの労働力や市民社会にも影響を及ぼしている。米カーネギー国際平和基金(CEIP)の報告書によると、ロシアでは労働力不足が生じており、産業施設の稼働率は81%にとどまっている。ロシア企業の73%が人手不足を報告している。英ロイター通信は2月、ロシア当局が、人手不足の解消には230万人の労働者が必要だと試算していると伝えた。

advertisement

ロシアでは、ウクライナ侵攻のために男性が徴兵されたことが労働力不足の一因となっている。ロシア軍はウクライナ侵攻開始以来、複数回の徴兵を実施している。これまでに数十万人の男性が徴兵され、戦場に送り出された。ロシア全土の工場や企業などから若い労働者が離れていったことが、人手不足を招いている。

戦場から戻ってきたロシア人の多くは、負傷のために働くことができず、職場に復帰することができない。ベルギーに拠点を置く欧州政策分析センター(CEPS)が2025年1月に公表した報告書によると、四肢を切断したロシア人兵士は数万人規模に上っている。このように、戦闘に伴う人的被害もロシアの労働力に打撃を与えている。英誌「国防ジャーナル」の2月の記事によると、ウクライナ侵攻によるロシア軍の死傷者数は約130万人に上っている。

だが、死傷者が増えたことだけが、ロシアの労働力に影響を与えているわけではない。米誌「ニューズウィーク」の2023年10月の報道によると、ウクライナ侵攻開始以来、約100万人のロシア人が国外へ移住した。これにより、同国の労働市場の負担は増大した。戦闘による人的被害と国外移住を合わせると、約230万人に上る。これは、ロイター通信が報じた、ロシアの労働力不足を補うために必要とされる人数と一致する。

advertisement

先述のエプシュタインCEOは、次のように語る。「ロシアは、本来なら経済の原動力となるはずだった労働者、技術者、若者を既に使い果たしてしまった。多く(のロシア人男性)が殺された。さらに多くの人々が、徴兵を逃れるために他国へ逃亡している。その結果、労働力の空洞化や生産性の低下に加え、数十万人に及ぶ負傷退役軍人による社会的負担が生じることになるだろう」

ロシアの政治的課題

ウクライナ侵攻は、ロシア国内の政治情勢にも影響を及ぼしている。ロシア政府は国内の野党関係者だけでなく、ウクライナ侵攻に抗議した一般市民をも弾圧してきた。政府による弾圧を受け、ロシアの野党幹部の多くが亡命している。

次ページ > ロシア国民の大多数がウクライナ侵攻を依然として支持

翻訳・編集=安藤清香

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事