マーケティング

2026.05.02 09:15

広告業界の9割が「AIネイティブ」化、問われるディレクション能力

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「AIに仕事が奪われる」という議論は、もはや過去のものとなりつつある。広告・マーケティングの最前線において、生成AIは単なる便利なツールを超え、業務に欠かせない「相棒」としての地位を確立している。メディアレーダーが広告関連従事者468名を対象に実施した調査によれば、業務で生成AIを「活用している」と回答した人は90.8%に達した。もはやAI活用は一部の先進的な取り組みではなく、当たり前の時代になったと言える。

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利用頻度も高く、利用者のうち約6割に当たる255名が「毎日利用している」と回答しており、週に数回以上利用する層を含めると全体の約9割の人がかなりの頻度で使っていることになる。具体的な利用目的としては、「提案資料作成の効率化」が79.7%と圧倒的で、全回答者の約8割が企画のたたき台作成や壁打ちにAIを利用。次いで「社内業務の効率化(58.8%)」「営業活動の高度化(50.4%)」「顧客対応・コミュニケーションの自動化(48.9%)」と続き、目に見えないアイデアの可視化や合意形成のスピードアップに大きく寄与している。

活用の幅は、単なるテキスト作成に留まらない。自由回答からは、画像生成AIを用いたクリエイティブ制作の高速化や、プログラミング知識のないマーケターがPythonやマクロを用いて自力で自動化ツールを構築するといった、専門領域への「越境」事例が散見される。かつてはエンジニアやデザイナーに外注、あるいは諦めていた実務を、AIの力を借りることで自ら具現化し始めている点は、個人のスキルを拡張するAIの真価を象徴している。

これほどまでに普及が進んだ今、広告の質を左右するのは「AIを使っているか否か」ではなく、それをいかに使いこなすかという「ディレクション能力」にシフトしている。AIが瞬時にラフ案を量産できるからこそ、人間には「ターゲットに突き刺さる正解」を見極める審美眼と、自社独自の成功事例や顧客データを掛け合わせて唯一無二の提案へと昇華させる力が求められる。

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今回は広告業界の話だが、他の業界でも同様のことが起きているはずだ。私たちの思考力や表現力を何倍にも高めてくれるツールとして、どこまで遠くのアイデアに辿り着けるか。広告業界に限らず生成AIの活用に躊躇していたら、手遅れになる。

出典元:MediaPicks「2026年版 広告業界「生成AI」活用実態レポート」より

文=飯島範久

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