食&酒

2026.04.26 18:00

ミシュラン京都「美山荘」が三つ星に 日本料理が直面する課題は

2026年版のミシュランガイド京都・大阪で三つ星を獲得した「美山荘」4代目主人 中東久人氏

2026年版のミシュランガイド京都・大阪で三つ星を獲得した「美山荘」4代目主人 中東久人氏

2026年版のミシュランガイド京都・大阪の授賞式が、4月23日、大阪のスイスホテル南海で行われた。アワードは「躍動」がテーマ。三味線の音楽が盛り上げるなか、今年の星付き店が発表された。今回は新三つ星が6年ぶりに誕生し、新たに5軒(京都から4軒、大阪から1軒)が二つ星となった。その全てが日本料理だ。
 
今回の注目の新しい三つ星店として選ばれたのは、京都の山あい、花背にある「美山荘」。2010年版で一つ星、翌年から二つ星の評価を受けてきた。

4代目主人の中東久人氏は、イギリスとフランスの大学を経て、フランスの名店「ヴィヴァロワ」で1年、アラン・デュカス氏率いるモナコの「ルイ・キャーンズ」で数か月サービススタッフを務めたこともある国際派である。1994年に帰国後、金沢の料亭での修業を経て、1998年に父の跡を継ぎ、伝統の「摘草料理」を自分のスタイルで作り続けてきた。

「美山荘」4代目主人 中東久人氏
「美山荘」4代目主人 中東久人氏

伝統の継承はユニークだ。3代目である父・吉次氏に連れられ、幼い久人氏はよく山菜取りなどに行っていたが、ある日突然、山に置いけぼりにされてしまった。「まだ小学校に入る前で、慣れた山とはいえ、家までは5キロほどありました。大泣きしながら帰ってきたのを覚えています」。しかし、やや荒っぽいその英才教育を通して、自然を自らの五感で理解する力が身についたという。

山岳信仰が根付き、多くの修験者が訪れる花背。近くには平安時代に建立された禅寺「峰定寺」があるなど豊かな歴史をもつ。料理は皿の上のものだけではなく、地域の文化を凝縮したものであるという考えから、地域と共に生きる日々の暮らしが、料理の発想に自然とつながっているという。

料理は素材の魅力を最大限にいかす構成で、フレンチや中華、イタリアンなど調理技術も取り入れる。しかし仕上がった時には、「美山荘らしさ」を感じる皿に必ず仕上げるよう心がけている。また、味のコンビネーションも意識し、主役の山菜の香りや苦味を引き立てるために、時にはマンゴーの甘みを合わせるなど、自由な発想で、生まれ育った花背の風土を表現している。

美山荘で提供される摘草料理
美山荘で提供される摘草料理

インバウンドに沸く京都だが、これからの日本料理に不安も感じるという。「外国人の味覚に合わせた味わいや金額設定になっている店が多くなっているのは残念なこと。外国人に合わせるのではなく、日本人のための店に外国人が来てくれるという形を守り、信念を持って京都の料理をしていきたい」と中東氏。

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文・写真=仲山今日子

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