食&酒

2026.04.26 18:00

ミシュラン京都「美山荘」が三つ星に 日本料理が直面する課題は

2026年版のミシュランガイド京都・大阪で三つ星を獲得した「美山荘」4代目主人 中東久人氏

今回のミシュランガイド京都・大阪は、ビブグルマンやセレクテッドレストランを含む総合掲載軒数は10軒増え、東京の526軒に迫る全479軒(京都244軒、大阪235軒)となった。

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注目が一層集まる関西の食について中東氏は、「関東は調味料文化、関西は出汁文化。最近は出汁が健康的だということで、関東の料理も、関西の流れを汲むものも多い。関東の食文化を進化させた形も見てみたいですね。足元を見て、何が必要とされているかをとことん考え抜く。その先に、進化があると思っています」と語る。

何を食べるのかは「投票」のようなもの

卓越した料理技術に加え、後進の育成やレストラン業界の発展に多大な貢献をした料理人に贈られるメンターシェフには、大阪の三つ星「柏屋」の松尾英明氏が選ばれた。日本の食材や技術を活かした香港の一つ星店「Ando」を営むアグスティン・バルビシェフなど、国内外のシェフの育成に貢献している。

一方で、4〜5年前から、和歌山県串本町の家族経営の養殖場「大瀬戸水産」と共に、魚粉の代わりに植物性タンパク質を多く配合した餌を与えた大瀬戸真鯛の開発。店で使うことで養殖魚のイメージを変えようと尽力している。

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「かつては安く大量に魚を手にいれるために養殖をしていて、味は二の次でした。今もそのイメージが強く、高級店で養殖魚を使うのは、ハードルが高いです。しかし、養殖は、味やサイズなどのコントロールができるメリットがあります。一つの生簀で3000〜5000匹のタイを育てられますから、例えば複数の店で、特別な飼料で養殖された、通常よりもさらに高品質なタイを買うこともできる。よりサステナブルで安定して美味しい魚が食べられる未来のために、仲間を募っているところです」

授賞式後のカクテルパーティーでは、実際にその大瀬戸真鯛を使ったチマキが参加者に振る舞われた。

食文化は食べる側と作るつくが共に未来に繋いでいくもの。円安でインバウンドによる外国人富裕層が多く訪れるなか、農業の担い手の減少、水産資源の枯渇などで食材の価格の増加も加わり、日本料理の価格は上がるばかりだ。そんななかで、食文化の担い手としての日本料理店も葛藤を抱えている。二つ星に昇格した京都「東山 吉寿」の鈴木吉寿氏の言葉が印象的だった。

京都「東山 吉寿」の鈴木吉寿氏
京都「東山 吉寿」の鈴木吉寿氏

「夜は一人3万円以上のコースを出していますが、一般の人にはなかなか手が届きづらい。サラリーマンや主婦の方々が美味しいと食べてくれる姿が嬉しいので、ランチは破格の値段で提供しています。それには当然ながら高価な食材は使えません。手頃なランチを続けると、ディナーの評価とは異なってしまう。二つ星になった今、これをどのようにしていけばいいのか。一年をかけて考えていきたい」

私たちが日々何を選び、何を食べるのかは、未来の食文化を選択する「投票」のようなもの。食が意味するものを、あらためて考えていきたい。

文・写真=仲山今日子

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