Tanuj Joshiは、EulerityのCEOである。同社は、フランチャイズやサービス業の企業に向けて、AIベースの多拠点デジタルマーケティング・プラットフォームを提供している。
いまAIをめぐる最も大きな論争は、汎用人工知能(AGI)の実現時期やモデルのベンチマークではない。次にチャットボットと会話するとき、そこにスポンサー付きのメッセージが付いてくるのかどうかだ。
2026年1月、OpenAIは、無料のChatGPTユーザーに広告を導入すると発表した。3週間後、Anthropicはそれを揶揄するスーパーボウルの広告を放映。Sam AltmanはXで反撃した。知能の未来を形づくるためにそれぞれ数十億ドルを投じる、世界でも最も力のある企業同士が、バナー広告をめぐって争っていたのである。そこには、AIは何のためにあり、誰が利用できるべきなのかという、異なる思想が映し出されていた。
AIは常にEulerityのDNAの中核にあったため、業界が広告支援モデルへ移行していることは、当社の長年のビジョンを裏づけるものだ。そしてこれにより、クライアントをAI自動化からAI主導の「発見」への移行に導くことができる。CEOとして私は、この進化を、私たちがすでに習熟している会話型エコシステムの重要な拡張と捉えている。これは特に重要だ。マーケターたちが、AI会話の「告白」的で個人的な性質がインセンティブの不整合や、機微なユーザー文脈の不適切な取り扱いにつながる可能性を懸念しているからである。
各社が支払っているコストを理解する
広告をめぐる激しい議論は、AIシステムの運用コストの高さに起因している。2025年、OpenAIは売上高130億ドル(有料記事)を計上したが、チップ、クラウド、データセンター、電力、人材を含むインフラコストは推定220億ドルに達した。稼いだ額より、はるかに多くを使っていたのだ。
AIとの会話は、その一つひとつが膨大な計算資源を要する。最先端モデルの学習には数億ドルを要し、さらにそれを大規模に運用して日々の数百万件のクエリを処理するにも、月あたり追加で数億ドルがかかる。電力費は小都市に匹敵する規模にまで膨らむ。
OpenAIは2030年までに、推定6000億ドルのインフラ投資を約束したと報じられている。Nvidia、AMD、Microsoft Azure、Amazon Web Services、Oracle、CoreWeaveといった企業と契約を結んでおり、その規模はこれまでの技術分野で見られたどの取引をも凌ぐ。比較のために言えば、2025年のAI関連データセンター投資は、米国GDPに占める割合で、すでにドットコム・バブルのピークに並んでいる。
Anthropicは、今後3年間で計算資源に約2億ドルを投じる見通しだ。これには、モデル学習、推論インフラ、Google Cloud、Azureとの契約、そしてチップの直接購入が含まれる。2026年2月、同社は自社のデータセンターが原因で生じた消費者の電気料金値上げ分を補填すると発表し、話題を呼んだ。インフラの規模が一般のアメリカ人の公共料金に影響するほど大きいことを認めた形である。
両社は、どれほど楽観的にサブスクリプションの成長を見積もっても追いつかないほどの速度で資金を燃やしている。だからこそ、いま「広告」の議論が起きているのだ。
OpenAIが正しいかもしれない理由
Google、Instagram、YouTubeといったプラットフォームの設計図にならえば、AIが10億ユーザー規模へとスケールするには、広告の統合が不可欠である。現行モデルでは、約8億5000万人の無料ユーザーが残されており、彼らが月20ドルのサブスクリプション料金を支払う可能性は低い。OpenAIは現在、発見フェーズで表示される高度な意図ベース広告の形式を検討しているとされる。それは、広告自体が答えを提供するという、スポンサー検索の実用性をなぞるものだ。
この進化は、AIエージェントが、スポンサー枠とオーガニック枠を透明性のあるランキングで組み合わせ、購買意図を満たすことで、コマースをエンドツーエンドで管理する未来を示唆している。最終的に、広告支援モデルへの移行は、AIがプレミアム価格を払える人だけのぜいたく品ではなく、世界の大多数にとって利用可能なツールであり続けることを担保する。
Anthropicも正しいかもしれない理由
AIに広告を入れるべきだという議論は、多くのAIとのやり取りが、単純な取引的検索クエリではなく、深く個人的な「告白」であることを見落としがちだ。Anthropicの社内分析によれば、ユーザーは転職や家族の健康といった繊細なテーマについて、AIを信頼できる助言者として扱うことが多い。そこには、広告ターゲティングの仕組みから守られるべき私的な文脈が生まれる。
プライバシーを超えて、根本的な懸念はインセンティブの不整合である。最も有用なAIのやり取りは、しばしば最も短い。しかし広告支援モデルは、エンゲージメントを最大化し、ユーザーをアプリ内にとどめることに金銭的なインセンティブが働く。収益が広告パフォーマンスに結びついた瞬間、プラットフォームは不可避的にユーザーより広告主を優先し始めることを、歴史は示している。その結果、役立つアシスタントが、利益のために推奨をさりげなく操作するツールへと変質する可能性がある。
マーケターにとっての意味
検索から会話へと移行するなかで、従来のマーケティングファネルは、高い意図と重い意思決定を伴うインターフェースへと再構築されつつある。マーケターにとってこれは、単に新しい広告枠を買う場所ではない。意図シグナルが極めて強く、AIの回答が従来のどんな広告よりも影響力を持つ「選択の瞬間」に、影響を及ぼす新しい方法なのである。
準備として、ブランドは直ちに自社の会話上のプレゼンスを監査すべきだ。主要なモデルが自社製品をどのように説明するかをテストし、AIエージェントが独自の価値提案を正確に解析できるよう構造化データを優先する必要がある。
チームは、好意的な自動要約を得るのに十分な高品質コンテンツがあるかどうかを自問しなければならない。また、こうしたやり取りが持つ「告白」的な性質への対処も検討すべきだ。すなわち、ブランドの存在が、侵襲的または機微な文脈ではなく、役立つ取引的な場面に現れるよう、どう担保するかという問いである。
マーケターは、単純な検索ではなく意思決定に最適化されているかどうかを評価すべきだ。そのためには、AIが競合ではなく自社を優先するために必要となる具体的なデータポイントを特定する必要がある。最終的な目標は、ユーザー体験の誠実さを維持するプラットフォームと協働し、透明性、関連性、そして真の有用性を通じて、この繊細な時期を強力な顧客獲得チャネルへと転換することである。
AI広告
ブランドにとって、これはデジタルマーケティング史上、最も刺激的であると同時に最も繊細な瞬間である。透明性、関連性、真の有用性を伴って正しく実行されれば、AIネイティブな広告は、これまで構築された中で最も強力な顧客獲得チャネルになり得る。一方で、ソーシャルメディアを空洞化させたのと同じエンゲージメント最適化の論理で誤って運用すれば、すべての人にとって環境を汚染することになる。
問うべきは、広告がAIに属するかどうかではない。広告はエコシステムのどこかには属する。問題は、それが到来したとき、インセンティブ構造を誰が支配するのかという点である。



