雇用をめぐる問題
AIは初級職を侵食しつつある可能性があるが、その傾向や今後の方向性について、データはそれほど明確ではない。報告書は、「AIの影響を受けやすい職種に就く最も若い労働者の雇用は2024年以降すでに減少しているが、年齢層の高い労働者の人数は増え続けている」としている。「組織の3分の1は、今後1年以内にAIが自社の人員を減らすと予想している。ただし、労働市場全体の集計データには、広範な雇用の置き換えはまだ表れていない」。
報告書はさらに、AIによる雇用の置き換えで人員削減が見込まれる度合いが最も高いのは、サービス業務運営、サプライチェーン、ソフトウェアエンジニアリングの分野だとしている。それでも報告書は、「AIが雇用に与える影響を測定することは難しい。特に、この技術は広範な導入の初期段階にまだあるためだ。これまでのところ、労働力への影響は一様ではなく、まず採用の流れ、若年労働者、特定の業務部門に現れているように見える。広範で一律の雇用の置き換えを示す証拠は存在しない」と認めている。
AIが従業員数に与える影響はなお未解決の問題だが、この技術は起業活動のブームを後押ししている。「米国は起業活動で先行しており、2025年に新たに資金調達を受けたAI企業は1953社に上った。これは次に多い国の10倍を超える」。
AIエージェントをめぐる問題
AIエージェント——市場全体で推進されているAIの最新形態——の導入率は、ほぼすべての業務機能で一桁台にとどまっていると共著者らは報告している。「AIの能力は研究室では急速に進歩しているが、実環境での信頼性はベンチマーク(性能評価指標)の示す水準に一貫して届いていない。2025年はAIエージェントの年と宣言されたが、モデルはなお複数のステップを要するタスクを安定して実行することに苦戦しており、エージェント向けベンチマークでの性能は50%を大きく下回ったままである」。


